現地レポート:カンボジア、ラオス−ベトナム航空ゴールデンルート その2
3つの世界遺産巡りのアクセス利便が向上
インドシナ観光の広がりに期待
インドシナ諸国のなかでも今、最も注目の高い場所が、ラオス北部に位置する古都・ルアンパバン。街全体がユネスコの世界遺産というアピールのしやすさに加え、今年1月に始まった日本人観光客に対するノービザ施策も、今後の発展の可能性を予見させる。(取材協力:ベトナム航空、文:福田えつこ/本誌)
◆ ルアンパバン−寺院めぐりで穏やかなラオスの日常に触れる
ルアンパバンの代表的な観光は寺院めぐり。14世紀から20世紀にかけて栄えた王国の首都であったルアンパバンには、今も多くの寺院が残る。中でも1560年に建立されたワット・シェントーンや、ワット・マイなどが有名だ。屋根が軒に向かって流れるように沿った典型的なルアンパバンの建築様式や寺院の外壁に描かれたモザイク画など、それぞれに見ごたえがあり、満足できる素材である。
それに加え、“寺院めぐり”というアジアの古都の定番観光を、ルアンパバンならでは印象付ける街の独特な雰囲気自体も、この街の魅力だ。敬虔な仏教国のラオスでは寺院参拝はごく普通の日常の風景で、当たり前のように現地の人々がお参りをしている。境内ではオレンジ色の法衣を着たお坊さんがのんびり休憩しており、観光客の問いにゆっくりした調子で答えている。
また、アジアの国々に比べてまだ観光地化が進んでいないためか、土産物店やマーケットでも客引きがほとんどない。寺院が集中する街の中心部はワゴン車以上の車が規制されているため、観光は徒歩やタクシー、トゥクトゥクで移動することになるが、端から端まで歩いても20分程度なので、元気な人には徒歩を勧めよう。自分の足で街をゆけば、通り沿いの商店や露店、行き交う人々の穏やかさを肌で感じられるはずだ。各ホテルで貸し出す自転車を使うのも手。自由散策の時間を設け、受身ではなく自ら創造し、街に溶け込むような旅の楽しみも伝えたい。
そしてクライマックスは、街の中心にあるプーシーの丘へ。300あまりの階段を上りきった頂上からは、達成感と同時にルアンパバンの全景が目に飛び込んでくる。特に夕景が絶好で、夕陽が沈む遠くの山々やメコン川とカーン川に抱かれ、ゆったりとした時間の流れる街並みが広がる。そしてどこか郷愁を誘う景色に、「これがルアンパバン」と実感することだろう。
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◆ラオス、来年1月から観光目的の入国ビザが不要に(2006/12/19)
◆ ルアンパバン−数千体の仏像を納めた洞窟と焼酎の村
もう一つの定番観光といえば、仏像で有名なパクウー洞窟と、ラオスの地焼酎「ラオラーオ」を醸造するバーンサーンハイ村へのショートトリップ。町の中心の桟橋からメコン川をクルーズで観光する。船は利用人数によってチャーターでき、100人用は1隻40ドル、20人用が30ドル、5人用が20ドル。約2時間のクルーズとなるため、ゆったりと座れる船をチャーターするのがよい。
メコン川は古くから現地の人々の日常生活の交通手段となっていた。そのため、クルーズでは周囲の自然とメコン川に吹く風を感じながら、往来する船や人々、川岸の集落に住む人々の生活風景を楽しめるのがポイントだ。一年を通して船は運航されているが、雨季になると水量が増えて運航に時間がかかるため、雨季はバスや車を利用することもできる。
パクウー洞窟はタム・ティンとタム・プラカチャイの2つの洞窟からなり、それぞれに計4000体の仏像が安置されている。多くの寺院が残るルアンパバンには、正月になるとラオス中から多くの人が訪れ、この洞窟にも多数の人が参拝するという。2つの洞窟のうち、タム・ティンはシニア層にお勧め。もう一方のタム・プラカチャイは10分ほど階段を登りきった所にあり、到着すると息が切れるくらいになるからだ。洞窟内も真っ暗で、入口に置かれた懐中電灯を片手に進む。ちょっとした探検気分が感じられ、こちらは若者向きだ。
一方、バーンサーンハイ村は、パクウー洞窟から船で20分ほどの場所。この村で造られているラオス焼酎「ラオラーオ」は蒸したもち米をメコン川の水で洗い、発酵させたもの。村では焼酎を造っている様子を見ることができ、試飲も可能。もちろん、販売もしており、お土産にもぴったりだ。
◆ 今後の送客に向けて−現地ホテル事情
ルアンパバンは、街自体が世界遺産であるため建築物に対する規制が厳しく、2階建て以上の建築物は認められない。このため、市街中心部には7つのホテルがあるが、いずれも30室から40室程度の「こぢんまり」としたかわいらしい規模がほとんどだ。設備的にも“ラオススタンダード”が多く、これがかえって魅力といえるかもしれない。
街全体の客室供給数は計700室で、少ないことは以前から問題となっている。ただし、現在、中心部に3つのホテルが建設中であり、2年後には完成する予定だ。また、今年の11月18日に3ツ星クラスの「ワントンホテル」がオープン。少し市街中心部からは離れているものの、オープン前
から予約はパンク状態だったという。
さらに、ラオスでは乾季の「オン」と雨季の「オフ」シーズンの差が激しく、このアンバランスさも、ルアンパバンの観光の潜在力に対してホテル開発が進まない要因の一つとなっている。今後、この打開策として国が「ラオスのグリーン・シーズン」を推進する方針を打ち出した。雨季は瑞々しいラオスの植物や自然が楽しめることを伝えていくという。
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インドシナ観光の広がりに期待
インドシナ諸国のなかでも今、最も注目の高い場所が、ラオス北部に位置する古都・ルアンパバン。街全体がユネスコの世界遺産というアピールのしやすさに加え、今年1月に始まった日本人観光客に対するノービザ施策も、今後の発展の可能性を予見させる。(取材協力:ベトナム航空、文:福田えつこ/本誌)
◆ ルアンパバン−寺院めぐりで穏やかなラオスの日常に触れる
ルアンパバンの代表的な観光は寺院めぐり。14世紀から20世紀にかけて栄えた王国の首都であったルアンパバンには、今も多くの寺院が残る。中でも1560年に建立されたワット・シェントーンや、ワット・マイなどが有名だ。屋根が軒に向かって流れるように沿った典型的なルアンパバンの建築様式や寺院の外壁に描かれたモザイク画など、それぞれに見ごたえがあり、満足できる素材である。
それに加え、“寺院めぐり”というアジアの古都の定番観光を、ルアンパバンならでは印象付ける街の独特な雰囲気自体も、この街の魅力だ。敬虔な仏教国のラオスでは寺院参拝はごく普通の日常の風景で、当たり前のように現地の人々がお参りをしている。境内ではオレンジ色の法衣を着たお坊さんがのんびり休憩しており、観光客の問いにゆっくりした調子で答えている。
また、アジアの国々に比べてまだ観光地化が進んでいないためか、土産物店やマーケットでも客引きがほとんどない。寺院が集中する街の中心部はワゴン車以上の車が規制されているため、観光は徒歩やタクシー、トゥクトゥクで移動することになるが、端から端まで歩いても20分程度なので、元気な人には徒歩を勧めよう。自分の足で街をゆけば、通り沿いの商店や露店、行き交う人々の穏やかさを肌で感じられるはずだ。各ホテルで貸し出す自転車を使うのも手。自由散策の時間を設け、受身ではなく自ら創造し、街に溶け込むような旅の楽しみも伝えたい。
そしてクライマックスは、街の中心にあるプーシーの丘へ。300あまりの階段を上りきった頂上からは、達成感と同時にルアンパバンの全景が目に飛び込んでくる。特に夕景が絶好で、夕陽が沈む遠くの山々やメコン川とカーン川に抱かれ、ゆったりとした時間の流れる街並みが広がる。そしてどこか郷愁を誘う景色に、「これがルアンパバン」と実感することだろう。
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もう一つの定番観光といえば、仏像で有名なパクウー洞窟と、ラオスの地焼酎「ラオラーオ」を醸造するバーンサーンハイ村へのショートトリップ。町の中心の桟橋からメコン川をクルーズで観光する。船は利用人数によってチャーターでき、100人用は1隻40ドル、20人用が30ドル、5人用が20ドル。約2時間のクルーズとなるため、ゆったりと座れる船をチャーターするのがよい。
メコン川は古くから現地の人々の日常生活の交通手段となっていた。そのため、クルーズでは周囲の自然とメコン川に吹く風を感じながら、往来する船や人々、川岸の集落に住む人々の生活風景を楽しめるのがポイントだ。一年を通して船は運航されているが、雨季になると水量が増えて運航に時間がかかるため、雨季はバスや車を利用することもできる。
パクウー洞窟はタム・ティンとタム・プラカチャイの2つの洞窟からなり、それぞれに計4000体の仏像が安置されている。多くの寺院が残るルアンパバンには、正月になるとラオス中から多くの人が訪れ、この洞窟にも多数の人が参拝するという。2つの洞窟のうち、タム・ティンはシニア層にお勧め。もう一方のタム・プラカチャイは10分ほど階段を登りきった所にあり、到着すると息が切れるくらいになるからだ。洞窟内も真っ暗で、入口に置かれた懐中電灯を片手に進む。ちょっとした探検気分が感じられ、こちらは若者向きだ。
一方、バーンサーンハイ村は、パクウー洞窟から船で20分ほどの場所。この村で造られているラオス焼酎「ラオラーオ」は蒸したもち米をメコン川の水で洗い、発酵させたもの。村では焼酎を造っている様子を見ることができ、試飲も可能。もちろん、販売もしており、お土産にもぴったりだ。
◆ 今後の送客に向けて−現地ホテル事情
ルアンパバンは、街自体が世界遺産であるため建築物に対する規制が厳しく、2階建て以上の建築物は認められない。このため、市街中心部には7つのホテルがあるが、いずれも30室から40室程度の「こぢんまり」としたかわいらしい規模がほとんどだ。設備的にも“ラオススタンダード”が多く、これがかえって魅力といえるかもしれない。
街全体の客室供給数は計700室で、少ないことは以前から問題となっている。ただし、現在、中心部に3つのホテルが建設中であり、2年後には完成する予定だ。また、今年の11月18日に3ツ星クラスの「ワントンホテル」がオープン。少し市街中心部からは離れているものの、オープン前
から予約はパンク状態だったという。
さらに、ラオスでは乾季の「オン」と雨季の「オフ」シーズンの差が激しく、このアンバランスさも、ルアンパバンの観光の潜在力に対してホテル開発が進まない要因の一つとなっている。今後、この打開策として国が「ラオスのグリーン・シーズン」を推進する方針を打ち出した。雨季は瑞々しいラオスの植物や自然が楽しめることを伝えていくという。
ホーチミンの新国際線ターミナルが供用開始
ホーチミンのタンソンニャット国際空港新ターミ
ナルが9月2日、グランドオープンした。これに
伴い、ベトナム航空(VN)は国際線の全便を
新ターミナルに移行し、従来のターミナルは
国内線専用とした。
旧国際線ターミナルの場合、VNではビジネス
クラス用カウンターが2つ、エコノミークラス用
カウンターが10未満であったため、成田、
関西、福岡、名古屋への日本出発便の搭乗
手続きが集中する午後22時から23時ごろにかけて、長蛇の列ができていた。
しかし、新国際線ターミナルではカウンターを30以上の設けたため、スムーズな
チェックインが可能になる。
なお、新ターミナルはグランドオープンしたが、
空港内のテナントは3階のカフェなど一部
オープンしたものの、工事中。VNのラウンジ
を含め、今後順次オープンされる予定だ。
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国際線を移転−8月28日から(2007/08/24)
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