現地レポート:カンボジア、ラオス−ベトナム航空ゴールデンルート その1
3つの世界遺産巡りのアクセス利便が向上
インドシナ観光の広がりに期待
デスティネーションとしてのインドシナ諸国の注目が高まっている。ビジネス・観光目的ともに需要の多いベトナムを筆頭に、世界遺産のアンコールワットのカンボジアが主な目的地であるが、ベトナム航空(VN)が10月28日から、ハノイ/ルアンパバン/シェムリアップ線を開設し、アンコールワット、ベトナムのハロン湾に加え、ラオスのルアンパバンという、インドシナの3つの世界遺産を周遊する旅行が組みやすくなり、ますますこの地域への旅行が活況になると思われる。VNは就航を機に、メディアツアーを実施。その様子をレポートする。(取材協力:ベトナム航空、文:福田えつこ/本誌)
◆ ベトナム航空が就航した“ゴールデンルート”
これまでシェムリアップやルアンパバンを周遊する場合、日本発の直行便がなく第3国を経由しなければならず、スケジュールや航空の手配業務が煩雑であった。しかし、VNが就航したハノイ/ルアンパバン/シェムリアップ線により、単一の航空会社での手配で済むため、業務効率に加え、価格を低く抑えられるメリットもある。
ただ、同路線はハノイの出発時刻が午前9時00分で、日本からの同日乗継ができない。また、ハノイの到着時刻は午後4時5分で、深夜発の日本線へ乗り継ぐ場合、ハノイでの半日以上の観光が必要だ。そこで既存のホーチミン/シェムリアップ線を活用することが、円滑なスケジュー
ルを組むコツとなる。
これを踏まえると、3国の観光を満喫する場合は、ハノイからゴールデンルートを利用し、シェムリアップからホーチミンへ抜けるルート、またはホーチミン/シェムリアップ線を利用し、ゴールデンルートでハノイから帰国するルートも可能。ただ、ツアー日数を抑えたい場合やベトナム滞在を抜かす場合は、日本線との接続の良いホーチミンから入り、最終日のハノイで半日観光を楽しんだ後に帰国するという、今回のメディアツアーの日程が最適だろう。
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◆ベトナム航空、インドシナ3ヶ国のゴールデンルートを巡る路線を開設(2007/09/25)
◆ シェムリアップ−アンコール遺跡はガイドの解説が重要
世界遺産のアンコール遺跡は日本人にとって、インドシナで最も訴求力のある観光地だ。2004年にはアンコールワットで「アンコールナイト」が開催され、需要にあわせてゲートウェイであるシェムリアップへのチャーター便も増加。07年11月からはアンコール・エアウェイズ(G6)が年間200本以上のチャーターを、日本航空(JL)も年度内に20本のチャーターを予定していることも、同地の勢いを示している。
さすがにアンコール遺跡群は壮大で、入場券は遺跡ごとのチケットのほか、1日券、3日券、1週間券の3種類があり、チケット保持者は遺跡内のトイレも無料で利用することができる。各遺跡でのチェックがあるため、チケットは最後まで紛失しないよう注意が必要。遺跡の入り口までバスで行き、バス内でチケットをチェックするので便利だ。
遺跡では、壁に描かれたレリーフに注目したい。当時の生活風景のほか、古代インドの叙事詩と言われるマハーバーラタの場面やヒンドゥー教の神話などが描かれており、芸術品ともいえる見ごたえのあるレリーフの前には、時間をかけてゆっくり見る観光客の行列ができている。
レリーフ鑑賞に不可欠なのが現地ガイドの解説。歴史、文化への興味を引き出し、ただの飾りのように見えるものでも、当時の様子や歴史を教えてくれる「教科書」のような意味のあるものに思えてくる。各遺跡をひとつ一つ丁寧に見て回ると1日では足りないが、丁寧な説明があれば1日でも満足できる。ガイドはしっかりとした日本語を話し、遺跡群内の撮影スポット、撮影に最適な時間帯も案内していたのも感心した事項。ただし、乾季の11月から2月はガイドの予約がパンク状態にある。この時期でなければ直接現地で申し込むこともできるそうで、この問題の解消も今後の送客に向けた課題の1つといえそうだ。
◆ シェムリアップ−滞在に変化、遺跡観光以外のニーズも
さて、遺跡からホテルに戻ってからの時間にも工夫したい。アンコール遺跡群の拠点であるシェムリアップには07年第3四半期、前年比38%増の80万3788人が訪問。観光客の増加と共に開発が進み、リゾートホテルをはじめとするデラックス以上のホテルは現在、市街に12軒・約1600室ある。量のみならず、設備やデザインを重視した質の高い施設も多く、郊外の遺跡に足を伸ばしつつ、のんびりと滞在を楽しむ客層が増えつつあるという。
今回宿泊したホテルはデラックスクラスの「ソカー・アンコール・リゾート」。カンボジアに2軒展開する現地企業のホテルで、カンボジアらしさにこだわったデザインとサービスが特徴だ。館内にはプールやジム、レストラン、エンターテイメント施設などがあり、リゾート滞在にふさわしい設備を備える。滞在中はプールサイドでのんびり過ごす人も多く見られた。特にスパ「ジャスミンスパ」の人気が高く、宿泊客以外の利用もあるという。
今回のメディアツアーに参加した女性向けのフリーペーパーが、同リゾートや他のラグジュアリーホテルでわざわざ単独取材をしていたことから、こうした施設が現在の主要客層である熟年層のみならず、OLや30代の女性に訴求するポイントになるとも思われる。神秘の遺跡の雰囲気を身近に感じられるリゾートで悠々とした時間を楽しむ滞在も、今後のアンコール遺跡を核とした旅行に加えたい要素と言えそうだ。
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インドシナ観光の広がりに期待
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◆ ベトナム航空が就航した“ゴールデンルート”
これまでシェムリアップやルアンパバンを周遊する場合、日本発の直行便がなく第3国を経由しなければならず、スケジュールや航空の手配業務が煩雑であった。しかし、VNが就航したハノイ/ルアンパバン/シェムリアップ線により、単一の航空会社での手配で済むため、業務効率に加え、価格を低く抑えられるメリットもある。
ただ、同路線はハノイの出発時刻が午前9時00分で、日本からの同日乗継ができない。また、ハノイの到着時刻は午後4時5分で、深夜発の日本線へ乗り継ぐ場合、ハノイでの半日以上の観光が必要だ。そこで既存のホーチミン/シェムリアップ線を活用することが、円滑なスケジュー
ルを組むコツとなる。
これを踏まえると、3国の観光を満喫する場合は、ハノイからゴールデンルートを利用し、シェムリアップからホーチミンへ抜けるルート、またはホーチミン/シェムリアップ線を利用し、ゴールデンルートでハノイから帰国するルートも可能。ただ、ツアー日数を抑えたい場合やベトナム滞在を抜かす場合は、日本線との接続の良いホーチミンから入り、最終日のハノイで半日観光を楽しんだ後に帰国するという、今回のメディアツアーの日程が最適だろう。
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◆ シェムリアップ−アンコール遺跡はガイドの解説が重要
世界遺産のアンコール遺跡は日本人にとって、インドシナで最も訴求力のある観光地だ。2004年にはアンコールワットで「アンコールナイト」が開催され、需要にあわせてゲートウェイであるシェムリアップへのチャーター便も増加。07年11月からはアンコール・エアウェイズ(G6)が年間200本以上のチャーターを、日本航空(JL)も年度内に20本のチャーターを予定していることも、同地の勢いを示している。
さすがにアンコール遺跡群は壮大で、入場券は遺跡ごとのチケットのほか、1日券、3日券、1週間券の3種類があり、チケット保持者は遺跡内のトイレも無料で利用することができる。各遺跡でのチェックがあるため、チケットは最後まで紛失しないよう注意が必要。遺跡の入り口までバスで行き、バス内でチケットをチェックするので便利だ。
遺跡では、壁に描かれたレリーフに注目したい。当時の生活風景のほか、古代インドの叙事詩と言われるマハーバーラタの場面やヒンドゥー教の神話などが描かれており、芸術品ともいえる見ごたえのあるレリーフの前には、時間をかけてゆっくり見る観光客の行列ができている。
レリーフ鑑賞に不可欠なのが現地ガイドの解説。歴史、文化への興味を引き出し、ただの飾りのように見えるものでも、当時の様子や歴史を教えてくれる「教科書」のような意味のあるものに思えてくる。各遺跡をひとつ一つ丁寧に見て回ると1日では足りないが、丁寧な説明があれば1日でも満足できる。ガイドはしっかりとした日本語を話し、遺跡群内の撮影スポット、撮影に最適な時間帯も案内していたのも感心した事項。ただし、乾季の11月から2月はガイドの予約がパンク状態にある。この時期でなければ直接現地で申し込むこともできるそうで、この問題の解消も今後の送客に向けた課題の1つといえそうだ。
◆ シェムリアップ−滞在に変化、遺跡観光以外のニーズも
さて、遺跡からホテルに戻ってからの時間にも工夫したい。アンコール遺跡群の拠点であるシェムリアップには07年第3四半期、前年比38%増の80万3788人が訪問。観光客の増加と共に開発が進み、リゾートホテルをはじめとするデラックス以上のホテルは現在、市街に12軒・約1600室ある。量のみならず、設備やデザインを重視した質の高い施設も多く、郊外の遺跡に足を伸ばしつつ、のんびりと滞在を楽しむ客層が増えつつあるという。
今回宿泊したホテルはデラックスクラスの「ソカー・アンコール・リゾート」。カンボジアに2軒展開する現地企業のホテルで、カンボジアらしさにこだわったデザインとサービスが特徴だ。館内にはプールやジム、レストラン、エンターテイメント施設などがあり、リゾート滞在にふさわしい設備を備える。滞在中はプールサイドでのんびり過ごす人も多く見られた。特にスパ「ジャスミンスパ」の人気が高く、宿泊客以外の利用もあるという。
今回のメディアツアーに参加した女性向けのフリーペーパーが、同リゾートや他のラグジュアリーホテルでわざわざ単独取材をしていたことから、こうした施設が現在の主要客層である熟年層のみならず、OLや30代の女性に訴求するポイントになるとも思われる。神秘の遺跡の雰囲気を身近に感じられるリゾートで悠々とした時間を楽しむ滞在も、今後のアンコール遺跡を核とした旅行に加えたい要素と言えそうだ。
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