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海外旅行の業者間取引、下請法に抵触する事例も−業界発展の視野で議論へ

  • 2007年10月22日
 日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)は、今年3月末から4月にかけて実施した取引実態の調査結果を公表した。OTOA会長の井上照夫氏は「日本旅行業協会(JATA)の新町光示会長、国土交通総合観光政策審議官であった柴田耕介氏ら、業界のトップが年始に旅行業界内での取引関係の改善に言及し、JATAの海外旅行トップアドバイザリー会議でも明記されてきた」と改善に動き出した端緒に言及。調査でこれまで指摘されていた点が数量的に把握できたことから、「全体として海外旅行の活性化、旅行取引のグローバルスタンダード化につなげていく」考えを示した。

 調査で明らかになったのは契約の際、「オペレーター会」(仮)への加入を義務付ける旅行会社が4社程度に集中。A社は36社が指摘、E社に21社、F社に17社、C社に15社、B社に7社となり、その他については7社が指摘。概ね、定額に年間取扱額の0.2%から2%の幅で協力金が求められる組織。これに対し、会費を徴収する会への加入や会費を拒否した場合、「その他、わからない」の33.7%を除くと、全く取引できないとの回答が38%近くにのぼり、スポット対応の可能性が29%とオペレーター側が取引状況の変化に不安を抱き、こうした会に加入していることが浮き彫りになった。また、受注後に他オペレーターが安い料金を提示したということで他社への変更、料金の減額についても特定会社、店舗に限定してあるという回答が集中した。

 こうした取引について公正取引委員会、中小企業庁などが管理、監督を強化、上記の件についても下請法で親事業者が「協賛金」等と称し、下請代金の額に一定率を乗じた額を差し引くことなど、下請代金の額を不当に減じることを禁止している。ただし、OTOA会員内でも平成17年に公正取引委員会が警告を発した事案に対して「知っていた」という回答が21.6%にとどまり、72%が「知らない」という回答と、このP社が取引形態を変更し、支払いについても改善した事例を認識していない場合が多いようだ。

 今後、OTOAでは、JATAと協議する意向だが、OTOAは協会として対応、JATAは業者間取引は個別対応というスタンスの違いがあることから、海外旅行市場の拡大、先日のJATA国際会議で議論されたグローバルスタンダードという視点から、話し合いをしたいという。一方で、JTBの韓国での対応変更などを受け、他社にも追随する動きもあることから、こうした動きも見守りながら、各社の「コンプライアンス」視点からの対応にも期待を示している。