トルコ伝統工芸の「エブル」を紹介−歴史と芸術で旅行の幅を拡充へ

  • 2007年9月19日
 トルコ共和国大使館・文化広報参事官室は「JATA世界旅行博2007」のブース内で、伝統工芸の「エブルアート」の実演ワークショップを開催、多く観客の注目を集めた。「エブル」とは、8世紀から9世紀頃から始まったといわれる装飾芸術で、水に色素を浮かべ、紙や布に染めとり描くもの。トルコではオスマントルコ時代、長らく偶像描写が禁止されていたため、象徴的なエブルは絵画芸術の中でも発展した。植物や花をモチーフにした美しいデザインが多く、トルコでは「エブル」の名称を女の子に名づけることも多いとか。

 会場では3名のエブルのアーティストが登場し、それぞれの技を披露。波を立てないよう、ゆっくりと色素を水の上に重ね
てゆき、思い思いのデザインを表していく。浮かべた色素を静かに移動させて、引き寄せたり、伸ばしたり、かき混ぜてわざとマーブル柄にさせたりと、同じモチーフであっても同じ作品は2つとしてないのが魅力だ。デザインを描き終えたあと、画用紙を水面につけ、ゆっくりと引き上げる。すると、紙一面にカラフルで繊細な花のモチーフが現れ、観衆からは驚きの声があがった。

 現在、トルコ各地のカルチャーセンターでは、刺繍などの講座とともにエブルもあり、一般的な文化となっている。エブル
アートを額に入れ、自宅に飾ったり、自作のエブルを日本の絵手紙のように親しい人に送る習慣もあるようだ。トルコ旅行はカッパドキアやパムッカレなど、国土に点在する世界遺産めぐりが中心となっているが、トルコ共和国大使館・文化広報参事官室では「トルコ旅行の多様性を図る上で注目して欲しい」とアピール。イスタンブールには以前の神学校跡を利用したカルチャーセンターがあり、エブルアートは1時間半程度で体験できるため、ツアーのアクセントとして組み込むことも可能。今回、登場したエブルのアーティストは、品川区に日本で唯一のエブルアートのアトリエ「サン・アート・イスト」を営業しており、子供からシニア世代までエブルアートに親しんでいるという。














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