現地レポート:南アフリカ−ブライデ・リバー・キャニオン自然保護区
豊かな自然と民族文化、南アフリカの魅力満載の新デスティネーション
南アフリカ最大のサファリツアーのメッカである、クルーガー国立公園。この西南端から50キロメートルほどの場所に、世界で三番目の規模を誇る峡谷「ブライデ・リバー・キャニオン自然保護区」があるのをご存知だろうか。日本ではまだ知られておらず、ツアーに組み込まれたことはほとんどないが、そこは驚くほどに緑と水、そして文化に恵まれた観光的魅力の多い場所。クルーガー国立公園と組み合わせれば、景観鑑賞だけでなく、南アフリカの暮らしや文化などを体感できるツアー造成が可能になる。また、日本人観光客に人気の高いジャカランダの並木道もあり、花期のピークシーズンの新デスティネーションとしての可能性も高い。(取材協力:南アフリカ観光局、南アフリカ航空)
◆ クルーガー国立公園との組み合わせがベスト
ムプマランガ州のゲートウェイである「クルーガー・ムプマランガ国際空港」までは、ヨハネスブルグから北東方面へ小型機で45分ほど。目的地が近づくにつれ、赤い広大な平地から木々の茂った起伏の激しい地形に景観が変化し、南アフリカが緑豊かな場所であることに驚き、まだ見ぬ地への期待が高まってくる。
ブライデ・リバー・キャニオン自然保護区の面積は、アメリカのグランド・キャニオン、ナミビアのフィッシュ・リバー・キャニオンに次ぐ3万キロ平方メートル。緑に覆われた峡谷としては世界で最も広い規模だ。同空港から峡谷までは25キロメートルほどの位置にあり、そこから峡谷内の観光スポットへ続く道路「R532」と「R543」は「パノラマ・ルート」と呼ばれ、格好のドライブコースとなる。片側一車線ずつの道路はきれいに舗装され、ドライブ中も快適。移りゆく車窓の景色を集中して楽しめる。
峡谷内には160以上ある大小の滝や、峡谷を流れるブライデ川とトゥルー川が交わることで削られたといわれる岩穴「ポットフォールズ」など見所も多く、クルーガー国立公園(ゲートまで)を含め、周辺の観光スポット間はそれぞれ30分から2時間もあれば到着できるほどアクセスがよいのもポイント。特に早朝の、谷底から霧が立ち昇る神秘的な情景は圧巻だ。これだけの規模なのにまだ観光地化されていないためか、峡谷の崖の淵には防護柵がないところもある。足元の注意を促した方がよいが、自然のままの姿でダイナミックな景観をまさに体感できるのは魅力的な要素の1つといえるだろう。
ドライブ以外にも、これらの峡谷美を楽しむ方法はさまざま。馬に乗ってビューポイントを目指したり、気球に乗って空から峡谷美を鑑賞したり、川でのラフティングも可能だ。
峡谷が一番綺麗に見えるのは空気の澄んだ冬の時期である5月から8月。冬でも比較的温暖で、訪問した5月初旬の初冬の頃は半袖の服装で十分だったほどだ。今回は、クルーガー国立公園のサファリツアーとの組み合わせを勧めるが、実はサファリツアーも冬の方が草木の高さが低く、動物を見つけやすい利点がある。早朝や夕方のサファリツアーの合間に同峡谷の素材を組み込み、さらに充実したツアーを実現できるだろう。
◆ 本物の民族文化・営みを体験
ブライデ・リバー・キャニオン自然保護区ではその景観美のみならず、現地の人の文化や伝統的な生活を守る部族の生活に触れることができる機会が多いのもポイント。各観光スポットでは地域に住む女性が歌やダンスで観光客を歓迎する光景が見られる。太鼓やマラカスなどでリズムをとりながら陽気に歌う姿は、見ているだけで心が休まり、温かい気持ちになるものだ。
峡谷とクルーガー国立公園の間にあり、国立公園まで30分ほどの場所にある「シャンガナ・カルチュアル・ビレッジ(シャンガナ文化村)」では、この地域に根付くシャンガナ族の生活や文化を見学・体験できる。ガイドが案内する1時間のツアーや、伝統的な食事付きのランチツアー(約1.5時間)、火を囲んでシャンガナ族の歌やダンスを見学するイブニング・ツアー(約3時間)があり、それぞれ35ランドから220ランドほど。
民族をテーマにした文化村はどのデスティネーションでも見られるアトラクションの一つだが、この文化村はまさにその場に生活するシャンガナ族の村の中にあり、本当の暮らしぶりを見学できるのが魅力だ。村の入り口では路地にひざまずき、部族長に許可を得てから入村するのだが、自分でしとめたというレオパードの毛皮をまとい、若い頃に他部族と戦った際にできたという大きな傷跡のある77歳の部族長の姿に、作り物ではない本当の民族を実感する。
◆ キャニオンに息づく街の観光を
ブライデ・リバー・キャニオン自然保護区のドライブルートは山々の高いところが多く、谷を下っていくと街や村に行き当たる。峡谷内の観光スポットの中心にある町「グラスコップ」は、山々に囲まれていることから年間通して雨が多く、美しい緑が茂っている町として知られている。工芸品店、カフェやレストランなどが揃っており、ドライブの途中の休憩地として、また、各観光地を訪れる際のランチスポットとして立ち寄りたい場所だ。お土産のおすすめはアフリカンシルクの店。衣類からベッド用品まで色鮮やかなシルク製品が揃っており、人気商品はシルクの掛け布団とのこと。中綿もシルクという贅沢な布団はダブルサイズで約3万円ほどするが、軽くて折りたためば小さいクッション程度のサイズになるので、持ち帰りも便利。シルクの美容効果もあり、特に女性には人気が高いという。
また、グラスコップから車で30分ほどにある街「プリグリムズ・レスト」では、赤、青、黄色の鮮やかな衣装を身にまとうンデベレ族が、並木道沿いに座り、民族衣装同様にカラフルなビーズ細工を作っている姿が見られた。この街は1873年、イギリス人のアレックス・パターソンが近郊のローン・ピーチ・クリークで金を発見したことにより、ゴールドラッシュで発展してできた街。いまも日用品を揃えるための店やレストランが当時のまま残り、「生きた博物館」として自然保護区内の人気観光地の一つとなっている。「ロイヤル・ホテル」という5ツ星ホテルもあり、快適な滞在も可能だ。
さらに、この村ではジャカランダの並木道にも注目したい。10月にもなれば、50メートルにわたって紫色の花が咲き誇る。南アフリカを旅行する日本人の多くがこの時期に集中するほど人気のある素材なので、規模は小さくてもこの地の有力な観光素材となるだろう。
過去の現地レポートはこちら
南アフリカ最大のサファリツアーのメッカである、クルーガー国立公園。この西南端から50キロメートルほどの場所に、世界で三番目の規模を誇る峡谷「ブライデ・リバー・キャニオン自然保護区」があるのをご存知だろうか。日本ではまだ知られておらず、ツアーに組み込まれたことはほとんどないが、そこは驚くほどに緑と水、そして文化に恵まれた観光的魅力の多い場所。クルーガー国立公園と組み合わせれば、景観鑑賞だけでなく、南アフリカの暮らしや文化などを体感できるツアー造成が可能になる。また、日本人観光客に人気の高いジャカランダの並木道もあり、花期のピークシーズンの新デスティネーションとしての可能性も高い。(取材協力:南アフリカ観光局、南アフリカ航空)
◆ クルーガー国立公園との組み合わせがベスト
ムプマランガ州のゲートウェイである「クルーガー・ムプマランガ国際空港」までは、ヨハネスブルグから北東方面へ小型機で45分ほど。目的地が近づくにつれ、赤い広大な平地から木々の茂った起伏の激しい地形に景観が変化し、南アフリカが緑豊かな場所であることに驚き、まだ見ぬ地への期待が高まってくる。
ブライデ・リバー・キャニオン自然保護区の面積は、アメリカのグランド・キャニオン、ナミビアのフィッシュ・リバー・キャニオンに次ぐ3万キロ平方メートル。緑に覆われた峡谷としては世界で最も広い規模だ。同空港から峡谷までは25キロメートルほどの位置にあり、そこから峡谷内の観光スポットへ続く道路「R532」と「R543」は「パノラマ・ルート」と呼ばれ、格好のドライブコースとなる。片側一車線ずつの道路はきれいに舗装され、ドライブ中も快適。移りゆく車窓の景色を集中して楽しめる。
峡谷内には160以上ある大小の滝や、峡谷を流れるブライデ川とトゥルー川が交わることで削られたといわれる岩穴「ポットフォールズ」など見所も多く、クルーガー国立公園(ゲートまで)を含め、周辺の観光スポット間はそれぞれ30分から2時間もあれば到着できるほどアクセスがよいのもポイント。特に早朝の、谷底から霧が立ち昇る神秘的な情景は圧巻だ。これだけの規模なのにまだ観光地化されていないためか、峡谷の崖の淵には防護柵がないところもある。足元の注意を促した方がよいが、自然のままの姿でダイナミックな景観をまさに体感できるのは魅力的な要素の1つといえるだろう。
ドライブ以外にも、これらの峡谷美を楽しむ方法はさまざま。馬に乗ってビューポイントを目指したり、気球に乗って空から峡谷美を鑑賞したり、川でのラフティングも可能だ。
峡谷が一番綺麗に見えるのは空気の澄んだ冬の時期である5月から8月。冬でも比較的温暖で、訪問した5月初旬の初冬の頃は半袖の服装で十分だったほどだ。今回は、クルーガー国立公園のサファリツアーとの組み合わせを勧めるが、実はサファリツアーも冬の方が草木の高さが低く、動物を見つけやすい利点がある。早朝や夕方のサファリツアーの合間に同峡谷の素材を組み込み、さらに充実したツアーを実現できるだろう。
◆ 本物の民族文化・営みを体験
ブライデ・リバー・キャニオン自然保護区ではその景観美のみならず、現地の人の文化や伝統的な生活を守る部族の生活に触れることができる機会が多いのもポイント。各観光スポットでは地域に住む女性が歌やダンスで観光客を歓迎する光景が見られる。太鼓やマラカスなどでリズムをとりながら陽気に歌う姿は、見ているだけで心が休まり、温かい気持ちになるものだ。
峡谷とクルーガー国立公園の間にあり、国立公園まで30分ほどの場所にある「シャンガナ・カルチュアル・ビレッジ(シャンガナ文化村)」では、この地域に根付くシャンガナ族の生活や文化を見学・体験できる。ガイドが案内する1時間のツアーや、伝統的な食事付きのランチツアー(約1.5時間)、火を囲んでシャンガナ族の歌やダンスを見学するイブニング・ツアー(約3時間)があり、それぞれ35ランドから220ランドほど。
民族をテーマにした文化村はどのデスティネーションでも見られるアトラクションの一つだが、この文化村はまさにその場に生活するシャンガナ族の村の中にあり、本当の暮らしぶりを見学できるのが魅力だ。村の入り口では路地にひざまずき、部族長に許可を得てから入村するのだが、自分でしとめたというレオパードの毛皮をまとい、若い頃に他部族と戦った際にできたという大きな傷跡のある77歳の部族長の姿に、作り物ではない本当の民族を実感する。
◆ キャニオンに息づく街の観光を
ブライデ・リバー・キャニオン自然保護区のドライブルートは山々の高いところが多く、谷を下っていくと街や村に行き当たる。峡谷内の観光スポットの中心にある町「グラスコップ」は、山々に囲まれていることから年間通して雨が多く、美しい緑が茂っている町として知られている。工芸品店、カフェやレストランなどが揃っており、ドライブの途中の休憩地として、また、各観光地を訪れる際のランチスポットとして立ち寄りたい場所だ。お土産のおすすめはアフリカンシルクの店。衣類からベッド用品まで色鮮やかなシルク製品が揃っており、人気商品はシルクの掛け布団とのこと。中綿もシルクという贅沢な布団はダブルサイズで約3万円ほどするが、軽くて折りたためば小さいクッション程度のサイズになるので、持ち帰りも便利。シルクの美容効果もあり、特に女性には人気が高いという。
また、グラスコップから車で30分ほどにある街「プリグリムズ・レスト」では、赤、青、黄色の鮮やかな衣装を身にまとうンデベレ族が、並木道沿いに座り、民族衣装同様にカラフルなビーズ細工を作っている姿が見られた。この街は1873年、イギリス人のアレックス・パターソンが近郊のローン・ピーチ・クリークで金を発見したことにより、ゴールドラッシュで発展してできた街。いまも日用品を揃えるための店やレストランが当時のまま残り、「生きた博物館」として自然保護区内の人気観光地の一つとなっている。「ロイヤル・ホテル」という5ツ星ホテルもあり、快適な滞在も可能だ。
さらに、この村ではジャカランダの並木道にも注目したい。10月にもなれば、50メートルにわたって紫色の花が咲き誇る。南アフリカを旅行する日本人の多くがこの時期に集中するほど人気のある素材なので、規模は小さくてもこの地の有力な観光素材となるだろう。
クルーガー・ムプマランガ国際空港
クルーガー・ムプマランガ国際空港は2002年にオープンした
新空港。緑豊かな丘の上に立ち、茅葺屋根の民家のような
ターミナルビルが特徴だ。伝統的な外見とはうって変わり、
ターミナル内はレストランやショッピング施設も揃う、
モダンな雰囲気。現在はボーイング737型機が1日平均
40便発着する程度だが、同空港の滑走路は幅60メートル、
長さ3000メートルあることから、B747型機、B767型機、
各種エアバスも発着可能とのこと。空港から15分ほど
離れたところに、サッカーW杯のスタジアムが建設されており、
2010年の開催に合わせてターミナル増設を予定している。
現在、国際線はチャーター便のみの発着であるが、2008年を
めどにイギリスやロシアからの定期便の就航も計画され、
南アフリカ北部の重要なハブとしての機能を今後さらに充実
させていく予定だ。
もう一つの特徴は、現在まで荷物の紛失が1回もないという、
安全性。理由として、スタッフへの行き届いた教育や、
空港内のモニター設備などが挙げられるが、それだけでは
ない。そもそも、ムプマランガ州は南アフリカ国内で一番
犯罪率が低い州として有名。州内の各村の規模が小さく、
村と村とのコミュニケーションが円滑に行われ、犯罪のない
村づくりに対する住民の理解や意識が高いとのこと。
ムプマランガ州では安心して南アフリカの魅力に触れる
ことができるだろう。
過去の現地レポートはこちら