現地レポート:カナダ・その1  ランデブー・カナダ編

  • 2007年7月5日
ランデブー・カナダ、ケベック・シティで開催


カナダ観光業界最大の旅行見本市「ランデブー・カナダ」(RVC)が、4月28日から5月2日の5日間、ケベック州ケベック・シティで開催された。31回目の今年は、ツアーオペレーターやホテル、航空会社などカナダのサプライヤーが597社・1018人、世界各国からバイヤーが254社・358人が参加。日本からのバイヤーは昨年より2社多い17社が参加し、カナダベースの日系ツアーオペレーターを合わせると、合計25社が集結。州ごとに並んだブースを巡り、1スロット15分、トータルで72スロットのセッションを精力的に行った。



KANATAでは知りえない情報やプロダクツを発見

 昨年に引き続き、今年も日本からRVCに参加する旅行会社に対して、カナダ観光局(CTC)とデルタホテルが参加費用を全面的にサポートした。CTC日本代表のサイモン・ピット氏は、「RVCはエージェントが直接カナダのセラーと会い、情報をアップデートし、また関係を深めるための絶好の機会。より多くの旅行会社に参加してもらうため、参加費のサポートは来年も続ける予定」と語る。

 毎年秋には、日本マーケットに興味のあるカナダのセラーが来日する旅行業界の見本市「KANATA」も恒例となっているが、さらに新しい情報を求めるバイヤーにとっては、RVCの意義は高いようだ。1995年から11年続けてRVCに参加しているオーバーシーズ・トラベル誉田雅夫氏は「ネットワークの強化と情報更新、そしてニュープロダクト開発のためのリサーチが参加の最大の目的。RVCには日本にまだ馴染みのないバイヤーも多く出展しており、KANATAでは知りえない情報やプロダクツを発見できる」とその重要性を語る。一方で、「1スロット15分というのは短い。スロット数を減らし1ヶ所と話す時間が長くなれば、本当に興味あるセラーとさらに充実した情報交換ができるのでは」と、進行方法への希望も聞かれた。


日本市場重視の姿勢を強調

 RVCの期間中には連日、各州などの主催によるランチやディナーレセプションが行われたが、これとは別に、CTCとデルタホテル、デルタホテルのマネージメント会社チップ・ホスピタリティ主催で日本人向けの朝食会も開かれた。ケベックの伝統であるシュガーシャック(メープルシロップ小屋)の料理をテーマにしたビュッフェが用意された会場には、CTC社長のミッシェル・マッケンジー氏も出席し、スピーチ。カナダ旅行業界に置ける日本マーケットの重要性について強調した。

 また、CTC日本代表のサイモン・ピット氏が今後のプロモーションの方向性に関してプレゼンテーションも実施。現在のカナダのイメージである「雄大な自然」を超えた新たな話題性のあるプロダクツの開発、それに伴うキャンペーンやメディア・プログラムの充実、FIT向けのインターネットによる情報提供とブッキングエンジンの構築など、今後3年間のプロモーション戦略とプランが説明された。

アルバータ州、ターゲット別にピーアールを展開、チャーター招致も意欲


 ランデブー・カナダの会場で、アルバータ州観光公社
代表デレック・コークカー氏は弊誌のインタビューに応
え、日本における同州の今後のプロモーション方針に
ついて語った。アルバータ州では日本市場を重要視して
おり、精力的なリサーチを行っている。コークカー氏は、
「市場を把握し、適切なプロモーションを行い、旅行者
層をさらに広げていくことが大切」とし、すでに着手して
いる具体的なピーアール内容を紹介した。

 例えば4月28日から6月1日まで、日本全国にシネマコンプレックスを持つユナイテッド・
シネマのスクリーンで、30秒のCMを上映。同時にアルバータ州への旅などがあたる
「エンジョイ・アルバータ・キャンペーン」も実施した「映画館でのCMは視聴率も高く、
特に若者層をターゲットに効果的なピーアールになる」とコークカー氏。また、カナダ観光
局と協力し、6月1日から7月15日まで、アウトドアウエア・ブランド「ノースフェイス」
の店舗でカナディアン・ロッキーをテーマにしたポップ掲出やパンフレットを配布。シニア
やアウトドア・ファンに向け訴求する。

 また、現在は日本からアルバータ州への直行便はないが、コークカー氏はこの問題
にも挑戦していきたいという。「今年の夏には日本航空(JL)が3便のチャーター便をカル
ガリーに就航する。今後もチャーターの招致は精力的に行っていく。バンクーバーに
寄らず直接アルバータに入ることで、州内により長く滞在してもらうことが可能になる」と
そのメリットを強調した。

 さらに「自主性の強い旅行者には、インターネットによる情報提供も充実させたい」とし、
現在リニューアル中の本国サイトの日本語版をなるべく早く完成させ、Eマーケティングを
推進していく考えも示した。

▽アルバータ州観光公社本国サイトの日本語版 http://www.travelalberta.com



(取材/吉沢博子、協力/カナダ観光局、エア・カナダ、デルタホテル)

過去の現地レポートはこちら