昨年の旅券発行数は19%増の430万冊−旅券保有率は26.1%

  • 2007年2月21日
 外務省によると、平成18年暦年ベースの一般旅券発行数は前年比19.1%増の430万2191冊となり、SARSで海外旅行者数も大きく減少した平成15年の急激な減少から、3年連続で増加する結果となった。このうち10年旅券は258万1979冊、5年は171万9229冊で、10年と5年は6対4の割合となっている。外務省では18年の増加要因として、平成7年11月から導入された10年有効旅券の切替時期も重なったと見ている。特に、平成17年は10年有効が約52%であり、今年の発行総数に占める10年旅券が60%超となっていることを理由に挙げている。

 一般旅券の都道府県別発行数はSARS後の平成16年に続き、全国47都道府県で平成17年の発行数を上回った。都道府県別の増加率では、東京が27.9%増で最も高く、次いで神奈川の25.7%増、千葉の24.9%増、兵庫の23.1%増、奈良の22.3%増と続く。全国平均の19.1%増を上回る地域は11都道府県で、6位から順に大阪の21.2%増、島根の20.9%増、愛知の20.6%増、京都の20.6%増、富山の20.5%増、鹿児島の20.0%増となっている。また、人口に占める旅券保有率は、東京都の38.3%が最も高く、神奈川県が35.6%、千葉県が32.1%、奈良県が31.1%、愛知県が30.7%となった。47都道府県の人口、有効旅券数の総計から算出した旅券保有率は26.1%。

 性別では、男が211万3781冊、女が218万8410冊となり、男49%に対し女51%の割合。年齢別では19歳以下が18.7%、20歳から29歳が21.7%、30歳から39歳が17.0%、40歳から49歳が12.4%、50歳から59歳が15.3%、60歳から69歳が10.6%、70歳から79歳が3.8%、80歳以上が0.5%となった。

 なお、平成18年は3月20日からIC旅券の発行を開始しており、この発行数は343万9003冊。

<資料>平成18年(暦年)の都道府県別旅券発行数と旅券保有率  PDF版  エクセル版


▽JATAの17提言「パスポート取得の推進」の指針にも

 日本旅行業協会(JATA)では先ごろ、海外旅行の促進を目指した17提言を取りまとめ、この中で「パスポート取得キャンペーンの推進」をアクションプランとしてあげている。今年の旅券発行総数は3年連続の増加と良い結果であるものの、平成8年(1996年)の623万5335冊と比べ、7割弱程度と海外旅行を後押しするにはやや心もとない数値だ。特に、現状の数値では、5年、10年旅券とも全て更新されている状態とは考えにくい。JATAなどでは、有効旅券保持者の出国率が50%近くと、海外旅行を促進する目安にもなるとの見方を示しており、県別の旅券保有率を見ながら、効果的な都道府県に対して、集中的に展開することも一考すべきと思われる。

 アクションプランでは旅行会社、国土交通省、外務省、地方自治体、空港会社、航空会社、在日外国観光局協議会(ANTOR)など、幅広く連携する考えを示しているが、今年は過去最高の旅券発給数であった平成8年の10年更新の年となる。平成8年に過去最高の発給数を示した5年後の2000年に史上最高の1780万人の日本人出国者数を記録しており、海外旅行の実質的な市場規模を保つ意味でも、この数年の旅券取得促進で成果が出るだけに、早急、かつ的確な対応が求められている。