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現地レポート:カナダ・アルゴンキン州立公園

  • 2007年2月16日
州立公園周辺でリゾート滞在、豊富なプログラムで通年送客も可能

 アルゴンキン州立公園は紅葉シーズンのハイキングなどで馴染みのある場所にもかかわらず、旅行会社スタッフから「その他、何ができるのか分からない」との声があるほど、意外とその魅力が知られていない。しかし、周辺にはリゾート・ホテルやカントリー・インなどの宿泊施設も充実しており、オンタリオ州内では年間を通して人気のリゾート・デスティネーションだ。大自然の奥深い魅力に触れるアクティビティが豊富にあり、紅葉時期以外でも十分に楽しむことができるだろう。


ツアー客層、目的にあわせたハイキング・コースの選択が可能

 トロントから1 時間ほど北上したエリアにあるアルゴンキン州立公園は、東京都の3.5 倍の広さを誇るオンタリオ州で3番目に大きい州立公園。公園内には手付かずの自然が広がり、ビーバーやムース、オオカミなど多くの野生動物が生息していることから、それらを研究する多くの学者も多く訪れる場所だ。

 年間約95 万人がこの公園を訪れ、そのうちの15 %がアメリカを除く外国からの旅行者だ。外国人旅行者の多くが紅葉シーズンに集中し、色づいた木々を見ながらのハイキングが人気だ。園内には17 のハイキング・コースがあり、どれも比較的起伏が少なく、初心者やシニア向けのものが多い。05 年度の紅葉シーズンには、阪急交通社やクラブ・ツーリズムがこの公園での紅葉ハイキングを組み込んだツアーを催行。4 万3000 人の日本人観光客が同州立公園へ訪れた。

 その際に最も多くのツアーに選ばれたハイキング・コースが「ルックアウト・トレイル」という1.9 キロのコース。紅葉を堪能するには丁度よい距離だ。紅葉以外のシーズンでも、公園内でしかなかなか見られない植物が楽しめる夏や、雪の上に残るオオカミやウサギの足跡を発見できる初冬のハイキングもおもしろい。

 「スプロース・ボブ・ボード・ウォーク」という園内の酸性沼付近を歩く1.5 キロのハイキング・コースでは、酸性沼でしか育たない水コケが絨毯のようにぎっしり繁茂する沼の上を実際に歩く、珍しい体験もできる。沼の表面はフカフカしていてまるでトランポリンの上を歩いているかのよう。子供だけでなく大柄な大人までも沼上ウォーキングを楽しむことができる。










 その他、公園内の各湖付近やビーバーが棲む貯水池付近を散策するものなど、テーマや距離、難易度などさまざまなコースがあり、季節や旅行者層に合わせて適切なものを組み込むことができる。年間を通して平準した送客をする好材料になるばかりでなく、旅行者の好みにあったハイキングを提供することは心に残る旅行の演出に繋がるだろう。
 さらにそのハイキングをより印象深くするためには、現地のガイドが重要な要素といえる。道中に目にする動植物などについての詳細なガイディングは、ハイキングの付加価値を高める大切なポイントだ。

 現在、公園内に1 名のナチュラリストと呼ばれる日本人ガイドが在籍しているが、紅葉シーズンはもちろん、それ以外のシーズンでも1 名だけでは足りない。より質の高い旅行を希望する団塊世代の増加が予想される今後は特に、日本人ガイドを増やすことが求められている。公園関係者によると、昨年の紅葉シーズンに多数の日本人観光客が訪れたことを受け、日本語ガイドブックの制作を企画しており、日本人観光客の受け入れ態勢を強化していく方針だ。


カヌーでアクティブに、自然の奥深さを知る

 アルゴンキン州立公園内のアウトドア・アクティビティはハイキングだけではない。まだ日本人にはそれほど馴染みはないが、公園内の湖でのカヌーもぜひ体験してほしいもののひとつだ。園内には3000 キロに渡る湖上カヌー専用のルートがある。カヌーなら園内の未開拓地帯にも足を伸ばすことができ、野生の動物たちにも高い確率で遭遇することができることから、地元の人たちの人気アクティビティとして定着している。しかし、漕ぎ方など、操縦に関する知識を知らないと危険が伴うため、カヌー初心者の旅行者は半日や一日ツアーなど、無理のないコースを選ぶのが望ましい。

 公園から車で15 分ほどの場所に「アルゴンキン・アウトフィッターズ」というアウトドア・グッツの専門店がある。ここでは公園内のアクティビティに適した服装から道具まで一式揃えることができ、道具についてはレンタルが可能なものもある。また、公園内でのアクティビティ・ツアー等も実施していて、その中でも特にカヌーのツアーは人気があるとのこと。カヌーを漕ぐこと自体を楽しむツアーのほか、自ら漕ぐカヌーで野生のムースを見に行くツアーなど内容も豊富。10 人乗りのカヌーが4 艘あるので、グループでの対応が可能だ。カヌー未経験者はまずこれらのツアーから体験するのがよいだろう。











リゾート・ステイを旅の目的に

 アルゴンキン州立公園の周辺一帯がリゾート地として人気を博す理由で忘れてはいけないのが、充実した宿泊施設の数々。スパを併設した高級リゾート・ホテルもあり、それらの滞在を旅の目的としてこの地方を訪れる旅行者も多い。

 アルゴンキン州立公園の玄関口として知られるハンツビルに位置する「ディア・ハースト・リゾート」はその代表例ともいえるリゾート・ホテル。800 エーカーの広大な敷地に69 棟のコテージが点在し、静かで落ち着いた滞在ができる。レストランやバーなどの飲食施設や会議施設のほかにも、ゴルフ、スキー、テニス、インドア・テニス、スカッシュ・コート、プールといった各種アクティビティ施設が揃い、スポーツ用品のレンタルもできる。

 夜は8 時と10 時から、「エッジ」と「ライブ」というショーを行っており、リゾート内での滞在を充実させるための施設やサービス、そしてエンターテイメントが豊富に揃っている。ショーは歌と踊りで構成されているため、英語が分からなくても十分に楽しめる内容だ。

 また、日本でも人気のコスメティクス「AVEDA」(アヴェダ)のトリートメントを使用するスパも人気が高まっている。利用希望者には滞在前の予約を勧めた方が良いほどだ。
 同リゾートの宿泊客のうち、約80 %がカナダ国内からの宿泊客。家族連れやハネムーナーが多く、リゾート内の施設を十分に活用し、楽しむ姿が見受けられた。また、日本人宿泊客は、外国人宿泊客全体の60 %のシェアを占め、ほとんどが紅葉シーズンに集中している。今後は、リゾート・ホテルの活用の仕方を工夫し、リゾート・ステイをテーマとした旅の提案することで、紅葉シーズン以外の送客も期待できるだろう。