JTB佐々木社長、今期は増収増益−「笑顔」創造で産業間競争を優位に

佐々木社長は昨年について「海外は好調で、国内は万博の反動で落ちるかと思ったが、皆さんのご協力、努力のおかげで前年並み」という。分社化の体制で各社員も「モチベーションのアップと集中力を高め」、「地域活性化が大きなテーマと認識している」と効果を語り、総合的な結果として「今期の決算は増収増益」という見込みに言及した。また、今年も「力強い前進を遂げる」と力を込める。
この前進は、3つの観点から旅行業に大きな風が吹くというもの。まず、経済が上向きであること、団塊世代の大量退職による効果、さらに政治の後押しだ。
経済面の好況で、企業の販売促進資金が増え、「インセンティブ需要が伸びている」という。また、賃金が下げ止まりしたことからファミリーを中心とした需要が上向き基調にあること、さらにJTBの受注状況では職場旅行が戻りつつあり、こうした動向が昨年春から秋にかけて鮮明になってきているという。ただし、こうした需要を地域の活力へと転換していくことが必要との考えで、「観光産業が地域の魅力を最大限に引き出」していくことが求められていることにも言及した。
団塊世代の退職については、それぞれが異なるニーズを求める世代で従来に無い要求に応えていく必要があるとの考えから、「付加価値産業へ転換する良いきっかけ」という考えを表明。「過去の成功体験では測れない厳しさがあるものの、サービスに磨きをかける機会になる」とし、「次の10年、20年の発展につながる追い風にしたい」との決意も改めて示した。
さらに政治的には、祝日3連休を定める法案で「これだけ需要が増えた」とし、ビジット・ジャパン・キャンペーン、観光立国基本法の成立など、「世の中の価値観さえ、変えていく力がある」と評し、現在の政治的環境が大きなうねりを作っていることを指摘し、時流に乗ることを説いた。
