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南アフリカ、2010年に5万人へ取組み強化、ポスト2010も視野に飛躍へ

  • 2006年11月24日
(南アフリカ・ケープタウン発 鈴木次郎) 南アフリカ観光局CEOのモケッツィー・モソーラ氏は日本旅行業協会(JATA)理事会の開催を契機として、今後さらに日本市場からの旅客誘致を図るとともに、旅行業界との協調が今後、一段と進むという考えを示した。

 南アフリカへの日本人訪問者数は上昇する傾向にある。2005年は04年比で18.2%増の2万7284人、今年は1月から6月の半年間の実績で1万2937人となり、前年同期比で19.5%増と堅調な伸びを示している。特に、南アフリカから長距離と出発地からの訪問者数では第2位で、モソーラ氏は「日本の旅行業界と協力し、旅行業界が消費者に情報提供することで訪問者数を伸ばしたい」という考えだ。このほかの施策として、旅行業界に対してはワークショップを開催し、レジャーや会議需要に対応する情報を提供するほか、メディアでの露出を高め、テレビ番組での放映も検討しているという。南アフリカではワールドカップが開催される2010年に、日本人訪問者数5万人達成を煮目標としている。日本を含め、イギリス、アメリカを重点国とし、認知度の向上を図り訪問者の増加を目指していく。

 南アフリカの露出を高める一方で、日本からの需要については航空路線の細さが難点。ただし、モソーラ氏は航空各社が南アフリカへ就航していることを挙げ、「旅のしやすさ(ease of travel) 」が重要との考えを示す。この観点で、先ごろのタイ国際航空(TG)の就航を歓迎し、アジアからの乗り継ぎ地として香港、シンガポールにバンコクが加わり、アジア方面の需要増に期待を示す。

 また、このところデルタ航空(DL)がアトランタからの直行便を11月から運航したほか、エールフランス航空(AF)が増便。またエミレーツ航空(EK)、カタール航空(QR)、ガルフ航空(GF)など中東の航空会社が増便する方向にあり、乗り継ぎ地の選択肢の増加に歓迎する考えを示した。


▽「ポスト2010年」を含めた計画進行中
 2010年は南アフリカへの訪問者の大きな伸びが予想されるが、現地では「ポスト2010年」を見据えた発言を多くの人が言及している。モソーラ氏はこうした状況について「国として2010年を見ているのではなく、2010 年の先にある需要も見越して取り組んでいる」と強調する。例えば、W杯に使用するサッカー場では、ヨハネスブルグのエリス・パーク・スタジアムは市に対して施設向上の予算を要求。最終決定はされていないが、こうした提案の中にも2010 年の先を見据え、会議施設の増設等を盛り込んだものがある。

 また、空港施設についてもヨハネスブルグ、ケープタウン、ダーバンの3空港を対象に、55 億ランド(約1000億円)を投資して機能の向上を図る。ヨハネスブルグでは既に着工しており、国際線旅客ターミナルの整備、拡張などが行われるほか、来る日曜日にはエアバスの最新鋭機 A380型機の受け入れも行い、増加が見込まれる旅客需要に対応する。

 道路や鉄道の整備体制も同様。3240億ランド(約5.5 兆円)を投資する。既に高速道路での移動網はできており、さらに都市部での交通網の整備、鉄道の新車両の導入など、幅広くインフラ整備を進めていく。「2010年以降」を意識するのはこうしたインフラ面での向上が関わっており、南アフリカ国民としての生活水準の向上などを見据えている。

<写真右上:南アフリカ観光局CEOのモケッツィー・モソーラ氏、写真右下:ヨハネスブルグのエリス・パーク・スタジアム>