韓国観光公社、団塊への戦略強化、海外旅行高経験度層メインにマーケット底上げ目指す

  • 2006年11月24日
 韓国観光公社(KTO)は2007年度、団塊、シニア世代の需要創出を強化する。韓流ブームにより日本国内で韓国に対するイメージが全般的に高まり、韓国に関する情報に触れる機会が増えたことから、この好機に団塊・シニア層をターゲットとした戦略を展開する考えだ。KTOはこのほど初めて、団塊、シニア層に特化した大規模の市場調査を実施、その結果を基に商品開発戦略、プロモーション戦略を打ち立てた。短期的にはほぼ毎年1回以上旅行する高経験度層(H層)から誘発し、長期的戦略として海外旅行低経験・不活性層(LD層)を掘り起こす方針だ。今後具体的な細部を決定し、来年度のプロモーション展開に反映させる。

 韓国は日本人240万人の訪れるメジャー・デスティネーションである一方、近距離にありがちな質より量の商品が多く、そうした流通構造が日韓両国で関連業界の経営圧迫に繋がっている。こうした中で方向転換を試行する旅行会社もあるが、KTOでは全体としてはまだ推進されていないとの認識を示す。今後の方向性は多品種、少量、高付加価値を追求すべきであるが、業界全体の取り組みとして新たな商品化の流れに到達していないことを指摘する。

 調査結果によると、旅行会社からは課題として、韓国ならではの魅力的な素材作りのほか、潜在的な資源がある地方の受入態勢の不備、ガイドの確保と育成の必要性などの声があがった。また、旅行商品では、「韓流スターのテーマがシニア、団塊世代の求心力にはならない」などの意見、流通面では、「安さを量でカバーする商品供給」、「販売の構造転換が必要」、「リピーター対策が重要」とのコメントのほか、「旅行業界の厳しい経営状況が、商品の多様化にネック」との旅行会社自体の問題も含めた課題があがった。

 調査結果からショートホールの中では韓国がH層、LD層共にトップの人気を誇り、H層の男性では友人、女性では団塊世代よりもシニア世代で希望が高いことが分かっている。これらのことからKTOは、H層、LD層への誘致戦略として、H層には友人同士、親子旅行、三世代旅行、H層の男性のFIT需要拡大を訴求。そのほか、近くて行きやすい立地イメージを最大限に活用したプロモーション、および魅力にイメージをプラスした打ち出し方でのアピールを展開する考え。短期間での訪問が可能で、旅行費用が安く気軽に訪問できること、同行者も見つけやすいこと、団塊・シニア世代では健康問題が最大の懸案事項のため、近くのデスティネーションを選ぶ傾向があることなど、韓国を訪問先として選択する利点を打ち出す。

▽歴史・伝統・自然にポテンシャルあり

 また、KTOは現状の一面的な韓国の観光イメージからの脱却、多様化を図り、これまで旅行動機としてあまり評価されてこなかった礼儀、伝統、歴史のイメージの訴求を図る。また、団塊・シニア世代を対象とした新しい旅行商品の素材として、温泉、グルメ(本場の味、海鮮)、世界遺産、生活文化(ホームビジットなど)、季節感や四季の移ろいをテーマにした商品の拡充を図る。特に韓国の自然はこの年代からの関心が高い割に、具体的な観光スポットをイメージできる消費者が少ないことから、逆にそのポテンシャルを認め、アピールする考えだ。