観光活性化フォーラム
観光活性化フォーラム

TCSA、「添乗員の重要度が高まる」とトップの認識、業界全体へ波及に好機

  • 2006年3月17日
 日本添乗サービス協会(TCSA)はこのほど、通常総会を開催、平成18年度事業計画案などを採択した。TCSAは今年で20年を迎える節目の年。添乗員の待遇改善など大きな課題を抱えるものの、旅行には欠かせない重要な役割を果たすことが、旅行業界の一部にも強く認識されつつあり、こうした機会を捉えて業界全体に波及していけるかが問われる年となる。

 総会終了後の懇親会の席上、挨拶に立った国土交通省総合観光政策審議官の柴田耕介氏は「添乗員は旅の演出家で、いわゆる『旅先案内人』。消費者の多様化するニーズの中でサービスの高度化を図り、引き続き重要な役割を果たしていただきたい」と期待を示した。特に、自身の経験等を踏まえながら、「(添乗員の仕事は)ほめられることが少ない厳しいものだが、一方で深く勉強し、案内すると高い評価も得られる」と語り、現状の待遇を含め「少しでも改善され、旅行業界、観光業界の発展に貢献していただきたい」と今後の重責への高い期待を述べた。
 また、日本旅行業協会(JATA)会長でジャルパック会長でもある新町光示氏はジャルパックでのスーパーTC制度を引き合いに「(素晴らしい仕事をする添乗員には)それなりの処遇をする必要がある」と言及。旅行会社が旅行を企画、付加価値を高める本来の仕事へと注力する方向性の中で、添乗員の役割は「ますます重要性が高まる」との見方を示した。

 柴田氏、新町氏とも自由民主党が進めている観光基本法改正の動きにおいて、人材育成が重要な位置を占めるとの認識。旅行者と直接の接触を持ち、現場で仕事をする添乗員の品質管理能力が一段と重要になり、こうした中で優秀な人材に相応の報いが無いと、人材の育成、将来の人材確保にも影響が及ぶとの考えから、旅行業界として対応しなければならないとの立場のよう。
 新町氏は「TCSAの20周年は人間で言えば、いわば成人式を迎えたもの。これから本当の成長期に入っていく」と、今後のTCSA、添乗員の飛躍を語った。


▽TCSAの18年度事業
 日本添乗サービス協会(TCSA)は平成18年度事業で、17年度に策定したTCSA緊急課題解決アクションプランの具体的活動の推進、20周年記念事業「ツアーコンダクター(旅の演出家)・オブ・ザ・イヤー」、各地区運輸局の表彰制度の実施、添乗員能力資格認定試験制度とともに旅行業界の資格としてデスティネーション・スペシャリスト制度への積極参加などを重点として活動する。

 この中で、アクションプランは優秀な人材と安定的な添乗員の旅行会社への供給を目的として策定したもの。これまでTCSAでは添乗員の実態調査を過去数度に渡り実施しているが、旅行会社の企画担当者らに派遣添乗員の実態を理解してもらうため、「派遣添乗員のキモチ」とした冊子を作成。派遣添乗員の待遇改善を目指し、課題に着実に取り組む一つとして旅行会社側の添乗員への理解を深めることが狙い。この冊子は約2000部を策定しており、旅行会社へ配布する。