来年の海外旅行者見込みは3.6%増の1795万人、財JTB予測

  • 2005年12月22日
 財団法人日本交通公社(JTBF)は第15回旅行動向シンポジウムを開催、この中で2006年の海外旅行者数の予測として3.6%増の1795万人、訪日外国人旅行者は9%増の730万人との試算を示した(四半期毎、および2006年の観光経済レポートは下記リンクを参照)。

 JTBF主任研究員の黒須宏志氏は、海外旅行者数の増加は地域、年齢層で鮮明な動きが出ていることを説明。特に今年は反日デモによる政治的な影響がささやかれている中、中国は1.8%、韓国は1.4%ほどそれぞれ出国者数を押し下げたと分析。2006年についてはこの2ヶ国への訪問者が上昇しないと全体にも影響が及ぶとした。
 また、年齢別では1999年の数値を100とした場合、20代が20%減、および30代前半もマイナスとなっているが、期待されるいわゆる「シニア層」の55歳超について好調に推移していることを指摘。例えば、阪急交通社の「びっくりヨーロッパ」が前年比40%増の集客。料金が12万9800円から24万9800円と価格訴求型だが、黒須氏は「シニア層は価格に反応したが、様々な要因で訴求する余地がある」とし、潜在的な需要は多いとの考えを示した。
 なお、海外旅行について業界を代表する担当者へJTBFが実施した調査によると、4.1%から6.0%増の伸びを予測する見込みが多く、平均でも4%増程度と1815万人程度と1800万人を超える予測。ただし、JTBFでは原油価格の高止まり、航空各社の路線統廃合に伴う供給座席、世界各地のホテル供給客室の逼迫などを踏まえ、景気は上向きにあるものの、3.6%増の1795万人との予測を示した。

 なお、訪日旅行についてはアジアの経済成長、反日感情の緩和、韓国からの短期滞在ビザの緩和、東京での外資系ホテルの進出による効果などで、引き続き上昇の傾向。地域別では韓国が13%増、中国13%増、台湾6%増、アメリカ5%増、香港4%増、欧州7%増、その他からは7%増とした。


▽愛・地球博効果は3%前後?
 また、旅行動向調査の中で、今年のビッグ・イベントであった愛・地球博効果についても言及。既に2200万人超の入場者という発表がされているが、これを踏まえ、観光での訪問は約1700万人、うち宿泊を伴う訪問を約50%程度と見込むと、日本国内の年間宿泊数の約3%程度に相当するとの試算を示した。各施設、団体などから地球博効果、または影響による増減との話について宿泊関連であれば、増減ともに3%程度の範囲に留まるとの見方を紹介した。


▽財団法人 日本交通公社(観光経済レポート最新版はVol.9)
http://www.jtb.or.jp/