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JATA、外務省の前例無いバリの対応を踏まえ、丁寧な案内を周知徹底

  • 2005年10月12日
 日本旅行業協会(JATA)海外旅行委員会の安心安全部会は先ごろ、バリ島治安情勢に関する調査団を派遣、11日に外務省、国土交通省へ報告書を提出、12日に官庁との意見交換を踏まえ、部会を開催した。部会でまとめた復興への方策6項目を具体的にまとめた。この項目は送客する日本の旅行会社、現地のオペレーター、ホテルなど観光関連業と自警団の民間、バリの州・県・市、および警察の官がそれぞれの持ち場で自助努力に励みながら、三位一体となって取り組むことを狙う。
 まず、日本側では(1)ホテル、レストラン等の選定に当たって従来よりも一層、セキュリティ面に配慮する。この際、バリ州警察認定のホテル警備グレード表をホテル選定の参照とする。これに加え、各社の独自調査により、一段と高い安全性の確保が望まれ、こうした方向性は近畿日本ツーリストが数項目に渡るチェックリストを作成し、ホテル選定の参考資料として活用していることが紹介された。
 また、外務省が1週間に3度のスポット情報を発出するという前例の無い事態に対し、旅行会社は送客していることについて一定の責任がある。特に、顧客の安全を確保する具体的な対応が求められる。こうした状況から、(2)外務省のスポット情報を個々の旅行者に、従来よりも一層、周知徹底する。これは、これについては旅行契約時、スポット情報、または内容の要約を書面で交付、外務省ホームページに掲載の旨を伝える。さらに、情勢の変動も予想されることから、現地でも、スポット情報をもとに最新の情報を伝える。
 旅程内に利用するホテル、レストラン等は、(3)バリ観光協会(BTB)、現地のオペレーターなどで構成するラササヤンを通じ、地元の観光関連会社に対し、それぞれの事業実施面でセキュリティの向上を要請する。具体的には、JATAの安心安全部会に対応し、バリにおいて外務省在デンパサール出張駐在領事を中心とし、危機管理の連絡組織の構築、および、地元のホテル等に対して、専門の警備会社のノウハウ等を参考にした警備レベルの向上を要請する。さらに、バリでは半年後毎にホテルの警備陣容の見直しを予定しており、警備レベルの維持が課題。こうした問題も踏まえ、半年後を目途に警備状況の確認を行う。
 今回の調査団では、現地の政府・官の対応は重要との認識から、知事、警察署長を訪問。これを踏まえ、(4)事件1ヵ月後の11月1日を目途に知事の来日を要請、日本でバリの様子を語ってもらう考え。また、(5)警察に対し、警備体制強化を要請、業界からの協力についても前向きに検討。ただし、安全性の向上に効力のある対策については、領事、現地にJICAから派遣されている島根県警の担当者、現地の旅行関係者らと相談し、早期に実現する。
 ことわざで「百聞は一見にしかず」というが、販売現場でも同じこと。顧客に対し「私が行って見てきました」という言葉は説得力があることから、(6)店頭社員を対象としたファム・ツアーを11月中旬に実施。リカバリーも睨み、100名規模で実施し、現地の安全対策と共に、リラックスできるバリの良さを体験してもらいたい考えだ。

 部会では、エイチ・アイ・エスから、クタに置く現地店舗の再開に向けた方策も明かされた。特にセキュリティ面を勘案し、クタスクエアに6台から7台のカメラを設置、警備員を配置することで、オープン。また、現時点でHISのバリ送客数は300名、うち100名程度がクタのホテルに滞在しており、万が一の事態に早急な対応も必要。日本人滞在者を安否確認、対応の早さなどを主眼として、ホテル利用を数ヶ所に絞ることも紹介された。また、12月出発分のパンフレットから、現地情報を詳しく掲載する対応を加え、プラスアルファの情報も提供していく方針だという。