国交省など、タイ・プーケット調査団派遣、ホテル関連の安全対策で協力へ

  • 2005年3月3日
<バンコク発 鈴木次郎> 国土交通省、日本旅行業協会(JATA)など14名からなるインド洋地震・津波関連の観光復興プログラム第3次調査団をバンコク、プーケットに派遣している。この目的はバンコクで日本、およびタイの関係者と意見交換すると共に、プーケットの観光客の受入体制を全般的に確認し、現状を把握することだ。特に風評被害の対策として、現地の状況を的確に説明することが求められており、こうした観点から今回は旅行会社約200名がメガ・ファムとして、タイ国際航空(TG)が2日から再開するプーケット直行便を利用して現地入り。タイ政府観光局(TAT)とTGの説明を受けるほか、プーケット島の全体を視察する予定だ。
 このメガ・ファムに先駆け、1日に国交省総合政策局旅行振興課課長補佐の田口芳郎氏を団長とする調査団は在タイ日本国大使館、国際協力機構(JICA)を訪問。タイ側と不断に接触する中での要望等について意見交換した。大使館参事官の吉田朋之氏は「復興は被害の大きいタイ南部が生業とする観光の回復が急務」とし、「日本人観光客が戻ってくることが切なる声」として今回のミッションの重要性を指摘する。先ごろのタイでの選挙で続投が決まったタクシン首相は津波の復興に力点を置くことを掲げ、日/タイ間の懸案事項としても日本の観光客の存在を高めることが重要な政策課題となっている。その中で、資金援助は、タイ側は先ごろ訪問した外務大臣の町村信孝氏の申し出を断り、タイ国内の自力回復に向けた予算策定も進み、需要回復が急課題。こうした点からも、資金よりも観光客の訪問に向けた対策をタイ政府として進めたい姿勢と捉える。また、大使館としても今後も日本の外務省などを通じた情報発信を続ける考えで、多くの観光関係者が指摘する日本人のメンタリティから訪問を控える時期が短くなるような地道な努力を国交省ともに連携する。
 また、JICAタイ事務所、アジア地域支援事務所所長の佐藤幹治氏は現地の緊急対策としては1月上旬から中旬にかけて終了している旨を調査団に報告。日本の主な活躍の舞台は中長期的な視点から、タイにおける防災大学設置時の人材派遣などで、現在の所は通常のJICAの支援で技術協力が可能な範囲内で展開していることも加えた。また、タイ国内では教育の一環として地震、津波被害の大きさなどを描く教科書の整備などで、広く防災対策を整えている。こうした動きと観光関連の企業、団体が観光地においての防災対策を現地側で展開すると共に、広く知らしめることも旅行会社として重要な役割となってくるだろう。

▽タイ観光省はホテルの緊急時の安全トレーニングを要請
 また、2日にはタイ・観光スポーツ省を訪問。観光省に対し、国土交通省から現在の復興への対策として風評被害等への対策のほか、ホテル等における安全対策の従業員の訓練において、政府間レベルでの協力ができる体制にあることを示唆した。タイ側からは災害に対して強い観光地の構築を目指しており、海岸線から30メートルには建物を立てることを避けるような対策をとるほか、安全トレーニングの協力が早急に必要であることを申し入れた。具体的な内容についても、津波だけでなく、自然災害全般から火災対策やテロなどを含めた全般的なシステムの構築についてのノウハウを得たいと言う。4月から5月に予算等を含めた対応についてもJICAを通じた援助となる見込みだ。タイ・観光スポーツ省の観光開発局ディレクターのサシタラ・ピチチャナロング氏は「こうした(安全関係の)対策は観光客の促進に繋がる」と語り、観光客を配慮した安全対応が現在の重要な課題であることを強調した。