JTBF、海旅動向シンポで海旅市場の変化指摘、女性層の需要喚起を示唆

  • 2004年7月27日
 財団法人日本交通公社(JTBF)は26日、第9回海外旅行動向シンポジウムを開催した。この中で市場動向を分析したツーリズム・マーケティング研究所主席研究員の磯貝正弘氏は昨年の特徴として50代、60代の旅行動向が鈍かったことを指摘。また、今年1月から4月の動向についても、前年比で女性20代が9.6%減、女性50代が12.4%減、女性60代が6.9%減と海外旅行意欲が減退している。これは海外旅行に占める女性の割合が1999年をピークとして減少する傾向があり、米国同時テロやSARSの発生は「あくまで市場の動向を明確にしたもの」と位置づけし、旅行の総需要喚起には質的な転換の必要性を示唆した。なお、今年の出国者数については、下期に2002年並に推移するものと仮定し、1650万人になるとの見通しを示した。ただし、女性層の動き次第では「上方修正もありえる」と語る。
 また、JTBFの観光マーケティング部主任研究員の黒須宏志氏は現在回復する景気が海外旅行市場の押し上げに寄与するかについて検討。これまでは国民総生産(GDP)との関連が強く示唆されていたものの、20代は景気に関り無く海外旅行者数が減少、50代以上は97年以降に貯蓄から消費行動に移る「ストック型消費」となっている市場の構造変化により連動性が薄らいでいるとした。こうした動向を受け、市場を牽引する層の見極めがポイントとなるが、海外旅行経験が高いものの手控えの状態にある50代から60代の需要を引き出すための母娘旅行、30代女性に対しての目新しいデスティネーションの提供などの仕掛けが求められているとした。