HIS、海外旅行減益も4Q反転へ取扱高11.5%増、燃油値下げと中東ツアー再開 ラド観光買収で地方発も強化

販管費70億円を抑制、通期予想は据え置き

 需要の下振れに対しては経費コントロールも強化する。第3四半期累計の販管費は3.0%増の817億4800万円。HISは当初、通期で約1170億円を計画していたが、残業時間の削減、広告宣伝費、出張費、会議費などの見直しを進め、約70億円を抑制し1100億円程度の着地を見込む。会見では、第2四半期決算時に見直した計画と比べても、第3四半期の経費を2億8000万~3億円弱追加で削減したことを明らかにした。

 2026年10月期の通期業績予想は6月公表値を据え置いた。売上高は5.9%増の3950億円、営業利益は3.2%増の120億円、経常利益は1.0%増の115億円を計画する。純損益は10億円の赤字を見込む。旅行事業の営業利益計画は93億3600万円で、9カ月累計の28億3500万円との差から単純計算すると、第4四半期だけで約65億円の営業利益を確保する必要がある。第4四半期の需要回復をどこまで利益につなげられるかが通期達成の焦点となる。

 なお、足元の第4四半期取扱高111.5%という見通しは、第2四半期決算時の社内想定に比べて4~5ポイント程度低いという。中東情勢や円安、燃油高による需要減速を織り込みながら、利益面では値付け改善と経費削減で補う構図だ。

ホテルは直販15~20%、グループ送客も強化

 旅行事業とは対照的に、ホテル事業は9カ月累計で増収増益を確保した。国内では自社サイトからの直販やコラボレーションルームを強化し、海外ではソウルが過去最高益を更新、トルコも前期の開業準備費用の反動で大幅に改善した。ただ、第3四半期単体では訪日需要の減速に伴う価格競争や関西地区の前年特需の反動、グアムの台風影響などで減益となった。

 澤田社長は会見で、ホテル公式サイトの直販比率について「15~20%」程度で徐々に上昇していると説明。OTAへの手数料負担を踏まえ直販をさらに強化する考えを示した。コラボレーションルームについても通常客室より高いADRと粗利を確保できる商品とし、継続的に拡大する。海外ホテルでは、グアムやバリなどHISの日本発海外旅行からのグループ内送客も強化し、効果が出始めているという。

 新規開業では、2027年4月に沖縄・那覇で「変なホテル」、2028年冬には広島駅前でホテルを開業する計画を明らかにした。

ラド観光を子会社化、地方発着・バス商品を取り込む

 HISは決算発表と同じ9月11日、ラド観光の全株式をアドベンチャーから取得し、子会社化することも発表した。株式取得価額は6億8400万円で、取得関連費用を合わせた総額は6億8800万円。株式譲渡は11月30日を予定する。

 ラド観光はバススキーツアーを得意とし、地方発着の商品造成や仕入れネットワークに強みを持つ。2025年6月期の売上高は27億2600万円、営業利益は1億2900万円で、コロナ禍を含め安定した収益基盤を維持してきた。HISは、自社が十分に開拓できていない地方発地やバス商材を補完できるとして、HISの販売網とラド観光の商品造成力を組み合わせ、地方発着商品の共同企画や特化型商品の全国展開を進める。

 澤田社長は決算会見の総括で、厳しい外部環境下だからこそ販売促進や広告展開、組織のスリム化、事業の選択と集中とともに「積極的な攻めのM&A」を進め、営業利益率と従業員1人当たり営業利益を高める考えを示した。ラド観光の子会社化は、その方針を具体化する一手となる。