HIS、社員275人の「経験知」をAIに 韓国旅行相談でAIアバター導入
HISとZEALS(ジールス)は8月27日、旅行者の相談に対応する「HIS AIアバター」の提供を開始した。第一弾として韓国旅行を対象に、HIS社員275人が接客や商品企画などを通じて蓄積してきた経験知と、韓国観光公社が発信する現地情報を組み合わせて旅行者に提案する。生成AIの普及で旅行情報へのアクセスが容易になるなか、旅行会社が持つ人的なノウハウをAIで活用できる「企業知」に変換し、新たな旅行相談モデルの構築を目指す。
HIS AIアバターは、ZEALSのマルチモーダルAIエージェントプラットフォーム「Omakase AI」の技術を活用。人間のような表情や音声を持つデジタルヒューマンと会話しながら、旅行者が自身に合った韓国旅行の情報や選択肢を探せる。24時間利用でき、テキストのみで相談できるAIチャットも用意した。
特徴となるのが、インターネット上の一般的な旅行情報だけでなく、韓国方面の商品企画や接客に携わるHIS社員275人の実践的な経験知を活用する点だ。「どのような旅行者にどの提案が喜ばれやすいか」「限られた日程で何を優先するか」「初めての旅行者がどこで不安を感じやすいか」といった、接客や商品造成の現場で培ったノウハウを収集、構造化し、AIが活用できる形にする。これに韓国観光公社の現地一次情報を組み合わせ、一般的なAIによる検索や要約との差別化を図る。
利用者は旅行先や日程が固まっていない段階でも、希望や不安を普段使っている言葉で伝えることで提案を受けられる。航空券や宿泊施設をHIS以外で手配した旅行者も利用でき、相談を通じてニーズが具体化した場合には、HISが扱う現地ツアーやアクティビティ、移動手段などの予約につなげることも想定する。
両社によると、複数の旅行会社社員から収集・構造化した旅行の経験知と、海外政府観光局が発信する現地情報を活用し、一般消費者向けのリアルAIアバターで旅行相談を提供する取り組みは国内初。今後は利用者からのフィードバックをもとにサービスを改善するとともに、対象デスティネーションやサービス領域の拡張を検討する。
HISは今年4月、韓国観光公社と3年間の「訪韓拡大のための業務提携協約」を締結している。若年層の個人旅行をコアターゲットに、ソウルに加えて地方都市への送客やリピーター需要の取り込みを強化し、3年間でHISからの訪韓日本人送客数170万人を目指すとしている。今回のAIアバターも、こうした韓国への送客拡大に向けた顧客接点の一つとなりそうだ。

