フィンエアーがプレスデーを開催、危機を乗り越え成長戦略を提示

  • 2026年4月13日

路線拡大とデジタル化に注力

 現在は欧州約87都市、アジア12路線、北米7都市へと展開しているが、2026年には14の新規就航地を予定しているという。特に日本は重要な市場であり、現在欧州の航空会社としては最大の便数を供給する。同社最高収益責任者(CRO)クリスティーン・ロヴェリー氏によると、この夏のスケジュールでは週28便に増便する計画。円安による渡航者の減少や中東航空会社との競合といった懸念にもプライシングや「フィンランドブランド」により対抗する自信があるとした。

 日本路線に関しては緩やかではあるが回復傾向にあり、長期的に収益モデルを構築していく。また、今後はトロント線の再開やメルボルン路線の新設など、さらなる拡充も計画。10月に就航を予定しているメルボルン線はバンコクを経由することで機材効率を最適化することができるといい、新しいデスティネーションとして大きな期待が寄せられている。

 ロシア領空閉鎖の継続を前提とした新戦略は「利便性」「信頼性」「選択肢」「エンゲージメント」の4つを柱とし、顧客中心のビジネスモデルを強化している。たとえば、顧客データを活用し、個々のニーズに応じたサービス提供を目指し、「モダンリテーリング」を導入。座席や付帯サービスを柔軟に組み合わせる販売手法へと転換することで顧客満足度の向上を図る。

 また、現在ではチケットの約70%がオンライン経由で販売されていることを受け、販売チャネルのデジタル化も進められている。新たに多言語対応のチャットボット『SISU』も導入し、顧客対応、運航判断、価値創出の各領域でAIを使用することで成果が出始めているという。

 これは単に人手不足の解消に役立てているわけではなく、特にフィンランドでは人を介することなく手配ができることに利点を見出すため、たとえばスナック類の機内販売でも座席の手元で決済まで行えるサービスを導入したところ非常に評価が高いという。顧客満足度指標となるNPSも向上しているといい、AIやデジタル化には今後も力を入れていく方針だ。

機内にいるだけでフィンランド気分に。第二部では機内サービスなどについてデモンストレーションがあった。

フィンランドらしさを打ち出すブランド戦略

 新たに刷新されたブランド戦略では、「フィンランドらしさ」を前面に押し出している。先述したように、森の静けさや落ち着き、信頼性や質の高さといったフィンランドが持つイメージをそのまま機内体験へと転換させる。

アメニティにはフィンランドの人気アパレルブランド『マリメッコ』が引き続き搭載。エコノミークラスでも紙ナプキンがマリメッコ柄で、フィンランド好きを魅了する。

 このプレスデーで初めて披露されたサウンドスケープもそのひとつで、フィンランドをイメージしたメロディが機内で流される。作曲には世界的にも著名なフィンランド出身の音楽家ラウリ・ポッラ氏を起用し、フィンランドの楽器「カンテレ」を用いた幻想的な音色に仕上がっている。2月27日より搭載されており、フリークエントフライヤーにとってはおなじみのフィンエアーのテーマ曲となるだろう。多くの旅行者にとって航空機は最初のフィンランド体験となる。「すでにフィンランドにいるような体験」を追求していく。

初めてメディアに披露されたサウンドスケープ。フィンランドをイメージした清涼なメロディが機内で乗客を迎える。
サウンドスケープを作曲したラウリ・ポッラ氏。フィンランドの著名な作曲家ジャン・シベリウスの曾孫であり、パワーメタルバンド『ストラトヴァリウス』のベーシストでもある。