スクート新日本支社長、羽田就航に期待 日本発乗継需要の取込に意欲

  • 2025年11月25日
新日本支社長の安武秀敏氏

 シンガポール航空グループのLCCであるスクート(TR)は11月22日、都内でメディアイベントを開催した。9月1日付で日本支社長に就任した安武秀敏氏は、2026年3月1日(※日本発は3月2日)から羽田/シンガポール線のデイリー運航を開始することを説明。本誌の取材に対し「LCCを使っての乗継の認知がそこまで高くないので、羽田就航はチャンス」と乗継需要の拡大に期待を示した。

 TRは11月現在、18ヶ国・地域、70都市以上に就航しており、2026年3月には83都市に増える計画だ。安武氏は羽田線がシンガポールに朝の8時半に到着することから、TRの運航するほぼ全ての路線に乗り継ぎができることをメリットとして強調した。現在、TR利用者の約3割がシンガポール以遠に渡航しており、羽田就航で乗継需要をさらに取り込みたい考え。今後は日本人に人気が高いバリやジャカルタ、クアラルンプールなどの東南アジア各都市への需要の取り込みを強化したいという。

 さらに安武氏は羽田線について「我々としては日本人に利用してもらいたいと考えている」と日本市場の重要性を強調。羽田発着のLCCがまだ少ないことから「羽田発でLCCの価格という意味で、多くのお客様の海外旅行で協力できる便と確信している」と期待を示すとともに、他の日本路線とともに「旅行業界の皆様、ビジネスパートナーの皆様と協力しながら販売戦略強化に取り組んでいきたい」と意欲を語った。

安武氏

 セミナーではTRが同一予約記録内での乗継の場合、バゲージスルーが可能である点をアピール。深夜便の場合、必要がなければ機内食を予約しない料金体系を利用するなど、ニーズに合わせてサービスを選択できる点をLCCならではのメリットとして紹介した。

 また、セミナーではタイ国政府観光庁マーケティングマネージャーの藤村喜章氏と、マレーシア政府観光局東京支局の久保田倫代氏がビデオメッセージで登場。藤村氏はプーケットやクラビのリゾート2ヶ所周遊を、久保田氏は美しい駅舎のあるイポーとボルネオ島の猫の街「クチン」などをそれぞれ紹介した。

 さらに同社PR&コミュニケーションズ担当の山口奈央氏が、シンガポール政府観光局からの情報に基づき、チャンギ国際空港での乗継時間の過ごし方や、乗継時間が長い場合の市内観光のおすすめスポットなどを紹介した。

日本路線、さらなる拡大は現状では「具体的な計画はない」

 TRは新千歳/台北(桃園)/シンガポールを週4便、成田/シンガポール線を週7便、成田/台北(桃園)/シンガポールを週14便、関空/シンガポール線を週7便で運航中。今後は12月1日から新千歳線をデイリー化し、15日からは那覇/シンガポール線を週3便で開設する計画だ。来年3月1日からの羽田/シンガポール線の就航で、6空港から週45便を運航することになる。

 安武氏は現在の日本路線は為替の関係からインバウンドの比率が高く、新千歳線は8割、成田線は6割、関空線は7割を占めていることを説明。那覇線と羽田線は就航当初は8割程度を見込んでいるという。

 そのうえでさらなる増便や路線拡大については「需要があるところへの路線拡大はいつも考えているが、日本路線で現時点で具体的な計画はない」とコメント。今後は路線維持に必要との観点から、比率は低いもののアウトバウンドが重要との考えを語り、日本/シンガポール間のイン・アウト双方の需要やシンガポール以遠の需要、シンガポール航空(SQ)からの乗継需要を踏まえ、総合的に判断していくとした。

 また、機材計画については、日本路線はボーイングB787型機で運航しており、那覇線のみエアバスA321neo型機を利用する予定。2025年はB787を2機、A321シリーズを9機追加導入するほか、昨年から大型機材を補完する意味で、全112席のエンブラエルE190-E2型機も導入を進めていることも説明した。E190-E2型機は東南アジアで活用しており、現在50機以上を導入済み。E190-E2型機の導入により、人気がある路線に大型機材を投入する頻度を高められるとした。

羽田線運航スケジュール
TR801便 HND02時15分発/SIN 08時30分着(デイリー)
TR800便 SIN17時30分発/HND 01時00分着※翌日(デイリー)
運航機材:B787型機(311席・314席・340席)