フィリピン観光局がMICE商談会、インフラ拡充とホスピタリティ訴求も マニラ事件受け「信頼の後退」懸念

(左から)クラーク開発公社のエレニタ・ロレンソ氏、PACEOSのパトリック・ローレンス・タン氏、ダバオ市MICEボードのレイアン・アラオ氏

 フィリピン観光局(TPB)は26日、都内で旅行業界関係者らを対象とした「フィリピンMICE商談会2025」を開催した。現地からはTPBのほか、DMO、ホテル、イベント運営会社、航空会社など15団体が来日し、日本国内の旅行会社、MICEエージェントらとのネットワーキングおよび商談が行われた。

 冒頭のあいさつでは、TPBのシェルドル・バヨナ氏が、フィリピンが単なる観光地としてだけでなく、国際水準のMICE開催地としての機能と実績を有していることを強調。今後はビジネスインセンティブや国際会議、展示会の誘致を強化していくと述べた。2026年にはASEANサミットや直近ではFIVB男子バレーボール世界選手権といった国際イベントの開催が予定されており、これらに向けて国内でのMICEインフラ整備も加速している。具体的には、2028年までにホテル客室数を約1.5万室増設する計画が進行中で、マニラの主要施設では10万㎡を超えるスペースの拡張も予定されている。

 また、TPBが推進する「MICEプラスプログラム」にも言及があり、国内外のMICE主催者に対し、空港での歓迎とアシスタンス、レセプションの飲食提供、ギフト提供、印刷物支援など、現物支給型の多様なサポートを行っていることが紹介された。同プログラムはイベントの種別(会議、インセンティブ、展示会)ごとに支援内容が整理されており、実務的な活用がしやすい制度として訴求された。

 今回の商談会では、地方都市からの参加も目立った。クラーク開発公社のエレニタ・ロレンソ氏は、クラークが旧米軍基地を再開発した経済特区であり、インフラが整備された安全性の高い地域であることを紹介。ヒルトンをはじめとした世界的ブランドのホテルが多数進出しているほか、交通渋滞も少なく、空港から50分圏内にホテルと会場が集中している点が、日本からのMICE旅行先としての利便性につながると述べた。ゴルフやカジノ、スポーツ施設などの付帯施設も充実しており、2026年にはASEANサミットの開催も予定されているという。

 また、ダバオ市MICEボードのレイアン・アラオ氏は、同市の文化的背景として、かつて市内ミンタル地区が「リトル東京」と呼ばれていた親日的な歴史を紹介。ダバオでは現在およそ10のMICE関連施設と9000室以上のホテル客室を有しており、日本からの直行便はないものの、マニラのほか、クラークやセブを経由したアクセスの利便性をアピールした。

 続けて、フィリピンコンベンション・エキシビション主催者・サプライヤー協会(PACEOS)会長であるパトリック・ローレンス・タン氏は、同国のMICE業界全体の課題としてサービス水準と安全性の確保を挙げ、人材のトレーニング強化に取り組んでいると述べた。また、マニラで発生した日本人旅行者被害の事案については「信頼の後退につながりかねない」と懸念を示し、安全対策やホスピタリティ基準の見直しにも言及した。

 TPBのバヨナ氏も「フィリピンのMICEにおける最大の強みは"人"」と語っており、国際的なニーズに柔軟且つ的確に対応できる点を強調し、「必ず世界的に評価されるフィリピン流のおもてなしを添えて対応する」と発信した。