福岡型サスティナブルツーリズム
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"ガイドを憧れの職業へ"、優秀な通訳ガイドを表彰「Guide of the Year 2025」受賞者発表

  • 2025年3月3日
授賞式に出席したガイドの方々

 地球の歩き方は、訪日外国人旅行者向けの通訳ガイドを表彰する「Guide of the Year 2025」の授賞式を開催した。旅行者ニーズの高度化と多様化に対応できる良質なガイドの人材創出に繋げるべく昨年より開始した取り組みで、今回が2回目。書類審査やオンライン面談を通し、語学力や伝達力、ストーリーテリング力など、通訳ガイドに求められる多面的なスキルを総合的に審査し、今回は「Guide of the Year」1名と「特別賞」5名が選出された。

 地球の歩き方総合研究所事務局長の弓削貴久氏は、同表彰の意義について「ガイドの皆様にスポットライトを当てて担い手を増やすこと。ガイドを憧れの職業にするため、日本にその文化が根付く土台を作ること」と強調。弓削氏によると、昨年にはガイド不足により旅行商品の販売をストップするといった機会損失も発生しており、同表彰などを通し、不足する人材を量・質の両面から支援する狙いがある。

 今回特別賞を受賞したのは、伊藤映子氏、小原信代氏、小林千晃氏、松岡麻紀氏、山口和加子氏の5名。そして、Guide of the Year には、京都在住の畑富美子氏が選ばれた。同氏は、観光庁「地域の観光人材のインバウンド対応能力強化研修」で1級講師を務めており、VIP・ラグジュアリー系ツアーを中心に活動中。知識や経験、英語力もさることながら旅行者ニーズを汲み取った現場での柔軟性や判断力が高い評価を得た。

 畑氏は授賞に際し「(ガイドは)ゲストの旅の瞬間に寄り添うという、やりがいと喜びの大きい仕事」とコメントするとともに、「もしこの仕事の認知が広がれば、全国津々浦々、地域の皆様と協力をして日本の魅力をもっとアピールすることができる」と同表彰の意義に賛同。「願わくば、子供たちの将来なりたい職業の中に入ってこれるようになれば」と続けた。

 また、同氏のガイドスタイルとして、「一緒に仕事をする方々と良い関係を築くこと」と「ゲストの胃袋を掴むこと」の2点を紹介。2点目に関しては、ガイドだからこそ知り得る店にゲストを案内することで、ツアーが温かい雰囲気になると説き、そのために自身も頻繁にお店のリサーチなどを行っているという。

 授賞式に出席した観光庁観光資源課長の竹内大一郎氏は、観光庁が昨年5月より開催している「地方部における観光コンテンツの充実のためのローカルガイド人材の持続的な確保・育成に向けた有識者会議」の中でも、なり手をどう増やしていくかが最も注力しているところと強調し、そのために「ガイドが憧れの職業となるような、ロールモデルとなる存在が非常に大事」と受賞者を称えるとともに、同表彰へ期待を示した。

 また、ガイド人材の確保においては通年で活躍しにくいとの課題もあるが、これに対し竹内氏は、ガイド以外に地域DMO等の関連の仕事を兼務すること、ベストシーズンが異なる複数の観光地を跨いでガイドを行うといった案が検討会で挙げられていると示した。

 授賞式の最後には、各受賞者からこれからガイドを志す方々にエールが送られた。例えば、ガイドはこれまでの人生の経験が全て活かせるほか、「頑張ったことがすぐに返ってくるやりがいのある仕事(小林千晃氏)」などと発信。また、山口和加子氏は「ガイドには定年がない」と、長く活躍ができる点をアピールした。

 次回の「Guide of the Year 2026」は、今年6月下旬の募集開始を見込んでおり、若手のガイド人材を表彰する「Guide of tomorrow」が新設される予定だ。