2025年海外旅行者数は19年比70.3%、経済的理由で「行かない」多く-JTB推計
JTBは9日、各種経済指標や消費者行動調査、3000人以上を対象としたインターネット調査などをもとにまとめた、宿泊を伴う2025年の旅行動向を発表した。
それによると、国内旅行は年間旅行人数3億500万人(前年比102.7%)、一人あたり旅行費用4万7800円(同101.1%)、総消費額14兆5900億円(同103.8%)と推計された。
物価上昇により旅行費用の高騰が続くなか、雇用や給与に関しては次第に良化されていく見通しで旅行に対しては追い風になると予想。アンケートでは2025年に1泊以上の国内旅行を実施する意向は、1回(28.3%)、2回(20.5%)、3回(11.2%)、4回以上(14.5%)で、性年代別では国内旅行を実施する人の割合は、女性29歳以下(86.5%)が最も高く、女性30代(81.2%)、男性30代(78.0%)、女性70代(75.9%)と続いた。
一方で、国内旅行に「一度も行かない」と答えた人は25.4%。その理由として最も割合が高いのが「家計に余裕がないから(35.4%)」で、以降「旅行費用が高いから(23.4%)」、「旅行に興味がないから(14.6%)」との結果に。
次に、海外旅行の人数は1410万人(前年比108.5%、19年比70.3%)、一人あたり旅行費用は33万4100円(前年比106.2%)、総消費額4兆7100億円(同115.2%)と推計。
アンケートでは、「行く予定」と答えた人は21.1%で、2024年の旅行実施率8.7%からは大幅に増加した。性年代別に見ると、女性29歳以下(34.3%)が最も高く、次いで男性29歳以下(27.5%)、男性30代(26.0%)と続いた。現時点で考えている旅行の行き先については、韓国(30.4%)が最も高く、次点も台湾(26.4%)と近隣の国・地域が高い一方で、ハワイ(24.2%)、ヨーロッパ(18.4%)など中長距離も人気があるという。
ただし「一度も行かない」と答えた人は78.9%で、「旅行費用が高いから(33.6%)」、「家計に余裕がないから(26.4%)」、「円安だから(24.4%)」といった経済的な理由が上位となっている。
最後に、訪日旅行の人数は4020万人(前年比108.9%)と推計。コロナ後の急激な需要回復が一巡するとの考えから、伸び率は緩やかになると予想した。
アンケートでは、訪日旅行者の増加に対する気持ちを調査。歓迎する声としては「日本経済全体の活性化につながるので歓迎(34.2%)」の割合が最も高く、特に29歳以下・30代・40代の男性、女性は50代で高い結果を示した。以降は「地方経済の活性化につながるので歓迎(23.2%)」、「観光地に賑わいが出てくるので歓迎(17.8%)」と続いた。
一方、懸念する声は「観光地でのマナーが悪くならないか不安(43.4%)」が最も高く、「観光資源・施設、自然などがダメージを受けないか不安(31.9%)」、「住んでいる人の生活に影響が出ないか不安(31.3%)」と続き、いずれも男女ともに50代以上で高い傾向がみられた。