観光客が戻るマカオ、観光業が回復軌道に[PR]
マカオの観光業は、中国本土からの観光客の大幅な増加により、パンデミック前の水準に近づいています。
2024年には訪問者数が約2000万人を超え、カジノ市場の成長にもつながっています。また、マカオ政府は、アジアのMICE市場で先行するシンガポールに肩を並べるため、MICE分野にも注力しており、2024年には前年比50%増の1500件以上のイベントが開催予定です。
インバウンド観光客が戻るマカオ
2024年、マカオの観光業は順調な回復を見せています。マカオ政府統計・センサス局(DSEC)によると、1月から9月までのインバウンド旅客数は約2592万人に達し、前年同期比で30.1%増加しました。
2019年同時期と比較しても85.8%の回復率を記録し、コロナ禍からの復調が顕著です。特に、中国本土からの観光客が全体の70%以上を占め、約1822万人(36.3%増)に達しました。
このうち、中国本土の個人観光客が利用する「自由行」と呼ばれる個人旅行制度を利用した観光客は約926万人に達し、前年同期比で20.4%の増加を記録しています。また、香港からの旅客は約540万人(0.8%増)、台湾からは約62万人(81.9%増)と、それぞれ回復基調が続いています。
観光客の内訳では、日帰り旅客が約1384万人(42.8%増)と大幅に伸びる一方、宿泊を伴う旅客は約1209万人(18.1%増)で、宿泊需要も堅調です。ただし、平均滞在日数は1.2日とわずかに短縮され、宿泊客の滞在期間は2.3日で横ばいでした。
観光客の増加は、マカオ経済に大きな活力を与えています。
IRと呼ばれる統合型リゾート施設を中心に、ホテル、飲食、エンターテインメントなど関連サービス業が活性化し、地域全体の経済成長を後押ししています。さらに、高速鉄道やフェリーなどの交通インフラの整備が、観光地としての利便性を一段と向上させています。
しかし、さらなる成長を実現するには課題もあります。日帰り客の割合が増加している一方で、宿泊客の滞在日数が伸び悩んでおり、長期滞在を促す施策が求められています。観光地としての魅力を向上させ、滞在期間を延ばし消費額を増やす取り組みが今後必要となるでしょう。
観光客増加がもたらす経済効果
観光業が回復基調を強めるマカオでは、訪問者数の増加が地域経済に大きな恩恵をもたらしています。
特にカジノを中核とするIR施設は、観光客を引き寄せる主要な魅力であり、その収益増加が経済全体を活性化しています。中国本土からの観光客が主な顧客層となり、訪問者数の増加がカジノ収益に直結しています。また、施設内にあるショッピングモールや高級ブランドショップでも消費が活発化し、観光客の購買意欲が地域経済をさらに押し上げています。
宿泊施設も順調で、特に高級ホテルやリゾートが人気を集めています。
2023年にはホテル業の売上が前年比25%増加し、関連する飲食業やエンターテインメント産業もそれぞれ20%、15%の成長を見せています。このような宿泊需要の拡大により、観光関連のサービス業全体が恩恵を受けています。
観光業の復調は雇用の増加にもつながり、2023年には失業率が2.00%に低下しました。カジノやホテル、飲食店などでの採用が増え、地域全体にポジティブな影響を与えています。
さらに、マカオ政府は観光促進に向けたインフラ整備や施策を積極的に進めています。高速鉄道やフェリーの利便性向上、IR施設の拡充など、訪問者の快適さを高める取り組みが観光地としての魅力を強化しています。
これらの取り組みによって、マカオは今後も経済成長を続け、観光業のさらなる発展を目指していくでしょう。
MICE分野への注力と競争力強化
マカオ政府は、観光業への依存を減らし経済を多角化するため、MICE分野への投資を積極的に進めています。2024年には前年比50%増となる1500件以上のイベント開催を計画しており、観光収益の拡大とともに、国際ビジネス拠点としての地位向上を目指しています。
IRの活用は、MICEイベント誘致の重要な柱です。シンガポールのマリーナベイサンズの成功を参考に、マカオも大型会議場、高級ホテル、エンターテインメント施設を組み合わせた戦略で、世界的なイベントの招致を強化しています。これにより、カジノ産業に依存しすぎない経済基盤の確保を目指しています。
また、マカオ政府が推進する「1+4」発展モデルもMICE分野の成長を支えています。
このモデルは、観光・レジャーを中心に、展示会や文化、スポーツなど多様な分野を統合し、新たな成長エンジンを育成するものです。特にIR事業者による約1087億マカオパタカ規模の投資が、MICE施設の整備や海外顧客の開拓に向けた取り組みを加速させています。
MICE市場の拡大は、地域経済全体に波及効果をもたらしています。イベント開催に伴う宿泊需要の増加、飲食業や小売業の活性化、現地雇用の創出など、多方面で地元経済を支える成果が見られます。さらに、ビジネス訪問者や観光客の滞在期間が延びることで、地域全体により大きな経済効果が期待されています。
今後、マカオがシンガポールや他の競合都市との差別化を図るには、独自の文化的資源や多様なエンターテインメントを活用した付加価値を生み出すことが重要です。MICE分野への注力は、マカオが観光都市から国際的なビジネス拠点へと進化する鍵となるでしょう。