フランス観光開発機構 新在日代表に聞く"日本市場への考察と今後の取り組み"、高品質商品とリピーターのけん引力に期待

  • 2024年11月7日

 2024年7月1日付でフランス観光開発機構の在日代表に就任したジャン=クリストフ・アラン氏。2019年に日本事務所の副局長に着任した同氏は、それ以前にも2006年からアルザス地方観光局国際プロモーション担当としてワークショップなどで来日しており、日本の旅行業界関係者には馴染み深い。このほど東京で開催された「パリ、グラン・テスト地方新情報&サプライヤー紹介セミナー」に出席した新代表アラン氏に、現在の日本市場に対する考察と今後の取り組みを聞いた。

ジャン=クリストフ・アラン氏

 アラン氏は来日後にコロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻などが起こり、リカバリーに取り組みながら在日6年目を迎えている。日本の旅行市場はなおインバウンド需要に大きく傾き航空座席の供給バランスが崩れ、さらに円安などで「難しい情勢だが、パリ2024オリンピック・パラリンピック競技大会でパリの観光地がフィーチャーされ、新たにフランスに興味を持つなど潜在需要は高まった感がある。この追い風を生かしてパリや地方への送客誘致を図っていきたい」と話す。

 そのポイントの一つと考えているのが、「肌感覚だがフランスを訪れる観光客の約6割」のリピーターだ。「彼らによる市場への情報発信は力になる。また、リピーターを満足させる質の高い商品造成もお願いしていきたい」と話す。旅行会社に対する情報提供としては、ワークショップ「SAKIDORI FRANCE 2025」を実施する予定。すでに参加団体への打診が始まっているが、現地サイドの反応は良好で「2019年の出展社数に近づけるのではないか」と語る。

 また、2024年6月、日本の旅行会社の有志による「日仏観光促進協議会」が発足。旅行業界を挙げてフランスの魅力をより深掘りした旅の造成を目指すことを指針とし、現在方向性を模索している。10月末には全国の旅行会社を対象にウェビナーを実施。協議会を通して、観光局などから得たあまり知られていない地元の祭りや工芸品、特産品、地元のパン屋などの食文化といった情報の共有が行われた。この活動についてアラン氏は「非常にありがたく、現地側の励みになっている」と話す。とくに日本側有志から提示されたフランスの特産品や工芸品のなかには「貿易セクションの管轄のものが観光素材になり得るという新たな視点の提供にもなっている」と明かした。

 日本市場については「送客人数よりも観光客や文化理解などに対するクオリティの高さなどの観点から依然プライオリティは高い。ポジティブに捉えていきたい」と語った。

 なお、「パリ、グラン・テスト地方新情報&サプライヤー紹介セミナー」では、12月末に観光が再開されるパリ・ノートルダム寺院の情報や、グラン・テスト地方で活用されている8名以上のグループを対象としたオペレーターや旅行会社向けの行程作成ツールの紹介などが行われた。