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HIS さとゆめ社との提携で全国に「新しい目的地」創出へ、PKGなど商品造成も

  • 2024年7月2日

 HISが地方創生事業プロデュースを行うさとゆめ社との資本業務提携により新・目的地創出事業「Destination Create Project」を開始する。既に7月1日付でHISから4名の出向が決まっており、両社によるプロジェクトチームを結成。これまで観光地とされていなかった地域含め「新しい目的地」を全国につくる。

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 提携するさとゆめ社は、地方創生に特化した伴走型の事業プロデュース会社。山梨県小菅村や長野県信濃町など、全国50以上のエリアで取り組みを行っている。JR東日本との共同出資にて進めているJR青梅線沿いでの「沿線まるごとホテルプロジェクト」では、第7回ジャパン・ツーリズム・アワード国土交通大臣賞を受賞しており、同プロジェクトの中核となるホテルは今年度中の開業を予定している。

 一方で、直近では地域活性化起業人制度を活用した富士市や東かがわ市への人材派遣を行うなど、同様に地域創生への取り組みを推進してきたHISだが、矢田素史社長は「これまでは自前化にて推進してきたため、リソースを充分に活かしきれていなかった」との課題感を示しており、今回の提携では、海外市場も意識した地方創生を進めていく考え。

(左から)HIS取締役上席執行役員山野邉淳氏、代表取締役社長矢田素史氏、さとゆめ代表取締役CEO嶋田俊平氏、取締役COO浅原武志氏

 さとゆめCEOの嶋田俊平氏は、提携の背景としてオーバーツーリズムの問題に触れ、「観光産業が国の目標通りに成長していくためには、これまで観光地とされていなかった地域が新しい目的地になっていく必要がある」との認識を示しており、その一手として、地域の暮らしや何気ない風景などを楽しむ「ライフスタイルツーリズム」の推進を挙げた。また、観光地域づくりのプレーヤーとしては既にDMOが存在するが、「(既存のDMOは)有名観光地を中心とした県を超えた広域のものや県全域を単位としたものが多く、町や村などの小規模自治体のDMOが少ない」と指摘した。

 本プロジェクトでは今後、両社による実行チームがプロジェクトに関心を寄せる自治体やその他地域組織を訪問・ヒアリングし、新しい目的地となるための計画や戦略策定を支援する。さらに、その地域と包括連携協定を締結し、必要に応じて専門人材を派遣。計画実現に向けた事業計画策定や施設開発、人材育成などの伴走支援を行うとともに、場合によっては地域会社の設立や経営参画も視野に入れる。

 最終的には、宿泊、飲食 体験などの商品化、パッケージ化を実現し、送客プロモーションを支援する予定で、嶋田氏は、地域毎で活動のプロジェクトマネージャーになれるような人材を派遣することで、「単なるコンサルティングに留まらない、人を起点とした一歩踏み込んだ地方創生プロデュース」を行っていく方針を明かしている。

 両社の役割として、さとゆめ側が計画や戦略づくり、地域とのリレーション構築、事業の立ち上げ等を、HISは具体的な商品造成や誘客プロモーション、販売などを担当する。