トラベル懇話会 産学連携で学生育成、「出張授業」「インターンシップ」実施へ

  • 2024年6月13日

 観光関連企業の経営者で構成されるトラベル懇話会は13日、第46期通常総会および第47期キックオフパーティーを開催した。会長職の続投が決まった百木田康二氏は、先月自身が代表取締役社長を務める東武トップツアーズを含めた旅行会社5社に対し公正取引委員会の調査により入札談合の不正が発覚したことを受け、集まった会員らを前に謝罪。既に各社では再発防止に向けた取り組みを実施しているとのことで、「二度とこのようなことが起きないようにするとともに、この数年で失った旅行会社に対する信頼を回復するために尽力していく」と発言した。

トラベル懇話会 百木田康二会長

 続く冒頭挨拶では、国内・海外・訪日、三位一体となった発展について言及。アウトバウンドを主軸とする会員を多く抱える同団体としては海外旅行の復活は急務。今期の事業計画の中でも、国際観光旅客税の柔軟な活用など海外旅行復活に向けた具体的な施策へ声を上げていく重要性を示した。

 実際に、昨年8月には会長らが髙橋一郎観光庁長官を訪問し意見交換を実施。キックオフパーティーに出席した観光庁審議官の石塚智之氏も海外旅行復活への具体案については「是非皆様からの提言をいただきたい」と発言しており、同じく出席したJATA髙橋広行会長も、現在国に対する要望に関して観光庁と協議を行っていると明かし、「ご理解とご協力を改めてお願い申し上げたい」と同業界の団体として一致団結を求めた。

産学連携で
学生の教育・育成を

 百木田会長は今年度の事業計画の中で「観光業の魅力を広く学生に発信し、業界に目を向けさせることが急務」と述べており、人手不足が大きな課題となっている現状に対し学生の教育・育成の重要性を強調した。

 具体的な施策としては産学連携による「出張授業」や「インターンシップ」の活用を促す。今年1月、同団体は観光・ホテル・エアラインに関する専門の学科を有する神田外語学院と覚書を締結しており、今年度の事業計画として会員各社から講師を派遣するとともに、インターンシップの受け入れを実施することが正式に決定された。なお、取り組み初年度となる今回は役員を中心に対応する予定だという。

 その他、総会では年会費改正(値上げ)が議案に。物価高や人件費高騰を背景に、「活動の質を落とさないという大前提の下に運営していくには、今の状態では限界がある」(百木田会長)とのことから、正会員費は11万円から13万5000円に、ファミリー会員費は5万円から6万2000円、シニア会員費は3万円から3万7000円にそれぞれ改正し、それに合わせ期中入会の場合の年会費も改正し承認された。改正後の年会費は来年4月から始まる第48期からの適用となる。

 発表によると4月12日時点の正会員数は120名。今年度は130名を目標に、HPの活用や業界プレスとの連携により外部への発信を強化する。また、昨年度も実施した国内・海外への研修旅行、講演会・勉強会などの例会は引き続き予定されているが、これまで会員施設での開催を基本としていた例会については、今後ユニークべニューでの実施も検討していくという。