OTOA会長 海外旅行低迷に危機感、「即効性のある施策検討とマイルストーンの提示を」

 日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)は5日、第33回通常総会を開催。盛況なインバウンド需要に対し、未だ19年比約6割と低調なアウトバウンドに関し、大畑貴彦会長は「旅行会社を利用した海外旅行に限れば、さらに低迷しているのではないか」と危機感を露わにした。

 国としては、髙橋観光庁長官が再三に渡り「双方向交流」の重要性を示すなど、アウトバウンドへの取り組みを進めるものの、大畑氏は「より即効性のある施策検討と、具体的にいつまでに何を具現化すべきかというマイルストーンの提示が必要ではないか」と指摘するとともに、旅行会社へは「すべての関係者がベクトルを合わせてスピード感を持って取り組むこと」が重要と強調した。

大畑貴彦会長

 また、業界においては旅行者の安全に関する各種事案が発生しているが、大畑会長は「旅行の安全と質の確保は、いかなる状況いつの時代であろうとも我々にとって変わることのない普遍的価値観」と述べており、24年度の事業計画でも引き続き「安全対策事業」を盛り込み、現地情報の発信や安全管理・法令順守の周知徹底を図る。

 その他の事業として、昨年度同様インバウンド賛助会員の獲得を目的の一つに「旅行サービス手配業務取扱管理者研修」の実施や、インバウンド関連情報の提供などを行う。OTOAによると、既存会員内でも新たにインバウンドの取り扱い開始を検討する会社もあるとのことだが、この要因について大畑会長はアウトバウンドの回復の遅れのほか、「ビジネスモデルとして両方をやっていくべきとの考えや、(インバウンド手配の)問い合わせが増えているのではないか」と分析した。

事業者間取引適正化へ
調査・要請のサイクルで是正を

 OTOAでは長らく、後払いや立替払いが主流となる事業者間の取引をデポジットなどのグローバルスタンダードに合わせる「取引条件の適正化」を推進しており、23年度も日本旅行業協会(JATA)への要望書提出や、大畑会長らが大手旅行会社6社を訪問し「デポジット、キャンセルチャージ等の前払い依頼に対する柔軟な対応」と「支払いタームを月2回・出発日基準で30日以内に複数回・短縮化」を要請するなど行った。

 これらの取り組みから、デポジットに応じたり支払いタームの短縮化を実現したケースもあるようで「前向きな反応が見られた」とのこと。一方で、システム上の課題で対応できないや、適正化への方針が現場レベルまで浸透していないなど、各旅行会社毎で様々な問題はいまだ残っている。

 OTOAでは、24年度も同様の活動を継続する方針で、実際に取引に反映されているかはOTOA会員へのアンケートを通して確認しており、調査結果は今後の関係各所へのさらなる交渉への材料とする。現在3回目のアンケートを実施しており、大畑会長は総会にて「必ず回答いただきたい」と改めて協力を依頼した。