日本人の海外旅行意欲徐々に向上、一人旅のニーズ高まる ヨーロッパ観光委員会
ヨーロッパ観光委員会(ETC)日本支部と欧州各国の政府観光局は、1日に共同でのメディアイベントを開催した。ETCは1948年に立ち上げられた欧州地域の観光プロモーションを担う団体で、現在36カ国の観光局と16の企業パートナーで構成されており、直近では昨年トルコが加盟した。
ETCが今年1月、日本、アメリカ、カナダ、ブラジル、オーストラリア、中国、韓国の各国1000人を対象に実施した調査によると、日本の海外旅行意欲は7カ国中最下位であったものの、昨年同期の調査時から+5%の成長を見せた。また、日本人の欧州への人気渡航先はフランス(33%)、ドイツ(28%)、UK(23%)、イタリア(21%)の順に高く、その他旅行スタイルの変化として、28%がパートナーとの旅行を、22%が一人旅を希望したという。
フランス観光開発機構日本代表のフレデリック・マゼンク氏は、日本市場の海外旅行需要について「(現状の)数字はあまり良くない」と評価。要因として、航空便数が戻っていない点や航空券の価格高騰を挙げており、コントロールが出来ない問題が多いなかで、「マーケットをどう刺激していくかが課題になる」(フレデリック氏)。
また、欧州では業界でもサステナビリティへの取り組みが進んでいるが、ドイツ観光局日本支局長の西山晃氏は、航空券価格の高騰などにより以前に比べリピーターや中間層を中心に一回の旅行での滞在が伸びている傾向に触れ、「(飛行機の利用回数が減ることは)サステナビリティの考えに合致する」と述べており、同局でも滞在期間を延ばすキャンペーンなどを実施してきた。
一方、フレデリック氏は日本はサステナビリティへの意識はあまり高くなく、サステナビリティを売りとしても直接消費には結びつかないと見ているが、「業界としてサステナビリティを考えなくてはいけない時代になってきている」と話した。
また、ETCでの今年の活動として、9月に開催が予定されているツーリズムEXPOで取り組みを行うほか、フィンランドとフランス共同でのFAMツアーを実施する予定だという。