今年は持続可能な観光実現に向けて歩み進めた一年、来年は「まずは地方誘客促進を」-髙橋長官会見
観光庁の髙橋長官は、12月20日の会見で今年を「コロナ禍からの復活、持続可能な観光の実現に向けて大きく歩みを進めた一年」と振り返る。3月に策定した観光立国推進基本計画では、「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客」という方向性を、5月策定の新時代のインバウンド拡大アクションプランでは、訪日需要をより大きく効果的に根付かせるための方策を取りまとめてきた。
年間を通し訪日客数、消費額は順調に回復。会見同日発表された11月の訪日外国人数は244万800人を記録し、6ヶ月連続で200万人超え、1月~11月までの累計で2233万2000人と2000万人を突破した。また、1月~9月期の訪日外国人旅行消費額は累計3兆6326億円を記録しており、「(現在の訪日需要を維持できれば)年5兆円の政府目標達成も期待できる」(髙橋長官)。
月 | 訪日外国人数 | 出国日本人数 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
2019年 | 2023年 | 対19年 | 2019年 | 2023年 | 対19年 | |
1月 | 2,689,339 | 1,497,472 | 55.7% | 1,452,157 | 443,105 | 30.5% |
2月 | 2,604,322 | 1,475,455 | 56.7% | 1,534,792 | 537,705 | 35.0% |
3月 | 2,760,136 | 1,817,616 | 65.9% | 1,929,915 | 694,292 | 36.0% |
4月 | 2,926,685 | 1,949,236 | 66.6% | 1,666,546 | 560,183 | 33.6% |
5月 | 2,773,091 | 1,899,176 | 68.5% | 1,437,929 | 675,603 | 47.0% |
6月 | 2,880,041 | 2,073,441 | 72.0% | 1,520,993 | 703,259 | 46.2% |
7月 | 2,991,189 | 2,320,694 | 77.6% | 1,659,166 | 891,614 | 53.7% |
8月 | 2,520,134 | 2,156,900 | 85.6% | 2,109,568 | 1,201,247 | 56.9% |
9月 | 2,272,883 | 2,184,300 | 96.1% | 1,751,477 | 1,004,730 | 57.4% |
10月 | 2,496,568 | 2,516,500 | 100.8% | 1,663,474 | 937,714 | 56.4% |
11月 | 2,441,274 | 2,440,800 | 100.0% | 1,642,333 | 1,027,100 | 62.5% |
12月 | 2,526,387 | 1,712,319 |
一方で、「地方部への誘客はまだまだ」と課題も。観光庁が先月末に発表した「宿泊旅行統計調査9月2次速報」。今年9月の都道府県別延べ宿泊者数の19年同月比では、東京+24.4%、大阪+12.4%、愛知+3.9%、福岡+3.5%など都市部が飛躍するなか、地方部は最大で-27.8%を記録するなど、回復状況に大きく差が出ている。
一部観光地への観光客集中などによるオーバーツーリズムの問題も散見されるなか、来年の取り組みについて髙橋長官は「まずは地方部への誘客を強力に進めていきたい」と述べ、「まだ見出だされていない観光資源の発掘も含め、コンテンツの磨きあげを行いインバウンド誘客に結びつけたい」と続けた。その他、DX推進を通した生産性、収益性の向上を図るとともに、人材不足については「本質的には、待遇面、働き方を含めて魅力ある産業とすることで、貴重な人材を確保していく」と示した。