日本へのタイ大手ホテル進出続くなか、マイナー・ホテルズが日本市場での活動強化へ
バンコクを拠点に世界6大陸に530以上のホテル、リゾートなどを運営するマイナー・ホテルズのチーフ・コマーシャル・オフィサー(COO)イアン・ディ・トゥリオ氏が、日本での新規開業の可能性について「近い将来のホテル開業を検討する上で、非常に魅力的なデスティネーション」と答えた。今年に入り、タイのホテルブランドの日本進出が相次いでおり、デュシット・インターナショナルが6月と9月にそれぞれ「ASAI」「デュシタニ」を京都に、センタラ ホテルズ&リゾーツは7月大阪に初上陸を果たした。
今回本誌の取材に応じたディ・トゥリオ氏は、今年6月にCOOに就任したばかり。これまで仏アコー、カタール航空、エア・カナダでの経験があるが、ロイヤリティプログラムなどを活用したブランド間を繋ぐエコシステムは「マイナー・ホテルにも応用できる」という。同氏は、このエコシステムが構築されれば「ブランド間の活性化を促進し、大切なゲストとの強い関係を築くことができる」と述べたが、これまで培ってきた経験をどのようにマイナー・ホテルズで発揮できるかが注目される。
同ホテルは現在、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、中東、インド洋エリア、オーストラリア、ニュージーランドに計8ブランドを擁する。主にアジア中心に中東、ヨーロッパにわたって45軒以上を構える「アナンタラ」は、都市から砂漠、ビーチ、山などバリエーションに富んだ土地で展開しており、「世界で最もエキサイティングな場所で心のこもったおもてなしを提供する」ラグジュアリーブランド。今後はさらにアジア、インド洋エリア、中東、南米の各地に拡大を予定する。2011年に誕生した「アヴァニ」は、主にミレニアル世代をターゲットに、良質な睡眠、デザインされたソーシャルスペース、地元産の食材を使った料理、フレンドリーなサービスに重点を置くホテルで、アジア中心に、オーストラリア、中東などに35軒以上を展開している。
その他ブランドの開業計画として同氏は、中東とアジア太平洋地域での展開を拡大したNHホテルズとNHコレクションブランドが、同地域で「成長を続ける可能性が高い」とした。その他、ロイヤルティ、テクノロジー、デジタル化への投資を継続する方針で、「これまで以上にパーソナライズされた体験を提供し、より効率的で流動的な業務プロセスを構築する」(ディ・トゥリオ氏)。
また、日本市場への投資も積極姿勢で、同氏は日本市場の海外旅行の需要増加は「まだ完全には実現していない」と評するが、2024年の見通しは楽観的。長らく旅行を控えていた消費者の「ペントアップ需要が期待できる」とコメントしており、旅行代金が手ごろなタイを中心に、第1四半期以降はベトナム、カンボジア、その他の東南アジア諸国での回復を予想する。これらの見通しを踏まえ、今後はセールス・ロードショーやメディア訪問など日本市場での活動を強化する考えだ。