宇宙飛行士野口氏が説く「多様性とチームビルディング」、日本での宇宙旅行実現は近い?-Rakuten Optimism 2023

  • 2023年8月16日

 楽天グループのエコシステムの概念とサービスへの理解促進などを目的とした同社最大規模のイベント「Rakuten Optimism 2023」が、8月2日~6日パシフィコ横浜を会場に4年ぶりのリアル開催で行われた。

 業界向けのビジネスカンファレンスでは、EコマースやAI、フィンテックなど、分野毎様々なテーマでパネルディスカッションを実施。会期2日目には、トラベル分野で「多様性とチームビルディング」をテーマに、楽天グループ上級執行役員コマース&マーケティングカンパニーVPトラベル&モビリティ事業長の髙野芳行氏と、宇宙飛行士で未来圏代表を務める野口聡一氏がディスカッションを行った。

 冒頭、髙野氏は自身が担当する旅行事業、とりわけインバウンドの拡大にあたっては外国人人材の受け入れが必須となり、様々な多様性という課題に取り組まなければならないとした。そのうえで、「実際に多様性の効果や効用を理解している方が、日本人は少ないのではないか」と指摘する。

 野口氏は「市場や客層、あるいは自分たちのチームそのものが変化し、複雑さを増す中で、そこに対応していくために多様であるべき」で、多様性は「目的」ではなく「手段」であるとの見解を示したうえで、自身のクルードラゴン等の搭乗経験からも、「単一や特定の課題に対しては、(単一的なチームの方が)動きは非常に早いが、思いもよらない課題に対しては、違った考えやバックグラウンド、特性があることでそれぞれの解を出すことができ、結果チームとして危機に対する能力が高くなる」と述べた。

楽天グループ 髙野芳行氏

 続けて、多様性のあるチームを形成するうえでのポイントとして、髙野氏は「多様性のあるチームも、しっかりと管理されていない場合は単一的なチームよりも成果は劣る」と指摘。野口氏も、近年企業が取り組む役員等の年齢、性別、国籍の幅を広げる動きを例にあげ、「そういった取り組みから始まることもある」と評価しつつも、そのうえで「チーム全体としてマネージされているかどうかが成功のカギ」と述べた。

 では、どのように多様性のあるチーム形成していくか。ここではタックマンモデルの組織成長の4ステージ(形成期・混乱期・統一期・機能気)について触れ、野口氏は一番難しいのは、自己主張をはじめ異なる価値観により対立が生まれる「混乱期」と示したうえで、重要なのは「ボトムアップ」だという。「チームメンバーがいかにちゃんと発言ができて、リーダーがそれを聞いてくれるか。そして聞いたうえで必要なチームのベクトルの修正をやってくれるかが混乱期の肝」と説明。続けて野口氏は、混乱期は主にリーダーが嫌われる可能性が高く、「日本人は嫌われたくないバイアスがあるが、嫌われることをいとわない勇気」が重要であると説いた。

 野口氏を交えたこのパネルディスカッションの終盤は「宇宙旅行」の話題へ。

宇宙飛行士 野口聡一氏

 野口氏は今後「1週間程訓練、準備を行えば誰でも宇宙にいける時代になってくる」との見解を示した。宇宙旅行の実現に向けては「安全性」が注目されるが、野口氏によると、問題が起こっても乗組員だけは無事に帰ってこられるような技術革新が進んでおり、ここ20年は死亡事故が起きていないとのことで、今後安全性は徐々に高まっていくことが予想されるという。

 また、日本市場での宇宙旅行実現については、大分での宇宙港の話題なども取り上げ、「知らない内にすぐ手元に宇宙旅行(の実現)が来ているのではないか」と述べ、それに対し髙野氏は「実現した際には、楽天トラベルで取り扱いたい。是非、楽天トラベルで予約してくだい」とディスカッションを締めくくった。