訪日外国人数3年5カ月ぶりの200万人、アウトバウンド促進の方針変わらず、髙橋長官 就任後初会見

  • 2023年7月23日
髙橋一郎長官

 7月14日付で観光庁長官に就任した髙橋一郎氏は7月19日に会見を開いた。足元では、6月の訪日外国人旅行者数は207万3300人を記録し、20年2月以降初めて単月で200万人を突破。19年同月比では72%まで回復している。また、今年1月~6月の累計では1071万2000人で、19年同期比64%となった。

 一方、6月の出国日本人数は70万3300人で、19年同月比46%となった。インバウンドと比較すると依然遅れを見せているアウトバンドについて髙橋氏は「アウトバウンド促進は国際間の相互理解の増進、延いては安定的な国際関係の構築に繋がるもの。」との認識を示した上で、「需給のバランスが悪いと航空ネットワークの回復が遅れ、拡大に繋がらない。」との危機感を露わにした。

 和田前長官のもとでは、「アウトバウンドの本格的な回復に向けた政策パッケージ」を策定し、業界関係者や各国政府観光局と連携し取り組みを行ってきたが、アウトバウンド復活に向けた取り組みは今後も継続していく方針だ。

和田前長官の方針を具体化
人材不足には外国人人材の活用推進も

 今回の会見は観光庁長官就任後初。今後の抱負について髙橋氏は「観光需要も本格的に回復しつつある今、まずは観光立国推進基本計画や新時代のインバウンド拡大アクションプランなど、和田前長官が示した観光立国の復活に向けた大きな方針に対して、しっかりと具体化できるよう取り組んでいきたい。その際に、持続可能な形で観光立国を復活させることが観光庁としての大きな任務の一つ。」と述べ、「観光の持つ揺るぎないポテンシャル、発展の可能性を信じている。そのような確信のもと、全国各地で観光振興を担っておられる地域の方々、あるいは 観光産業に従事される皆様が、未来に希望を持って、心豊かに、一層の誇りを持って取り組みを進めていただけるように、観光行政に全力を尽くしてまいります。」と力強く語った。

 続けて、コロナ禍を通して顕在化した収益性、生産性の低さや、人材不足などの観光産業の構造的な課題については、「地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業」などを通してDX推進を図るとともに、賃金水準の引き上げをお願いし、従業員の待遇向上に取り組んでいく方針を示した。また、特定技能制度などを通して外国人人材の活用も進めていく考えだ。