インドからの旅行需要に「大きな可能性」、アゴダCEOモーゲンシュターン氏

  • 2023年6月19日

 オンライン旅行予約プラットフォームのアゴダからこのほど、2022年7月にCEOに就任したオムリ・モーゲンシュターン氏とCCO(最高商務責任者)のダミエン・フィルシュ氏が揃って来日し、メディア向けにラウンドテーブルを開催し、予約動向などについて語った。

(左から)オムリ・モーゲンシュターン氏、ダミエン・フィルシュ氏

 まず、コロナ禍を経て旅行者がOTAに求めるものの変化についてモーゲンシュターン氏は「価格」も当然としながら「予約の柔軟性」が問われるようになったと話す。「従来は予約時に航空券やホテルなどを同時に予約しパッケージ化することで低価格にて提供していたが、現在は初回に航空券を予約、その後旅行日が近づくにつれてホテルやアクティビティを追加していくという傾向がある。」と述べた。アゴダでは従来のパッケージ販売の要素も踏まえつつ、ホテルやアクティビティが追加される毎に割引が適用される仕組みで、アクティビティなどの追加は旅行中でも可能だという。

 続いて直近の予約動向として、日本は渡航先として急成長を遂げているという。モーゲンシュターン氏は「基本的には急性長市場は規模としては大きくない傾向にある」と話すが、アゴダの直近の実績では、2023年上半期の日本への渡航者数は2019年上半期を超えており、現在国別訪問者数では日本が1位。その他タイ、ベトナム、マレーシアと続いている。昨年上半期時点ではその他国々とは大きく差が開いていた日本だったが、昨年下半期から爆発的な伸びを見せている。JNTOが発表した本年4月の訪日外客数は2019年同月比で66.6%であったが、アゴダの実績では2019年比で「倍以上」だという。

 また、中国からの観光客数がまだ戻らない中、インドからの新たな旅行需要について問われると「インドからの旅行需要は非常に可能性がある」と話す。実際にアゴダの直近の予約実績ではインドからの旅行者数はまだ規模は大きくないものの、「伸び率としては一番大きい」ようだ。今後インドからの訪問者数を伸ばすポイントとしてモーゲンシュターン氏は「ビザ」と「フライト数」の2点を挙げており、「2013年に日本政府が東南アジア諸国に対してビザ要件の緩和をしたことでベトナムやインドネシア、マレーシア、シンガポールからの旅行客数が大きく伸びたように、インドも同様の要件緩和とともに、それに伴うフライト数の増加が行われれば大きく成長できる可能性がある」と分析した。ただし、インドからの観光客数が中国と同レベルになるには「あと10年程度は掛かるだろう」と述べた。