長崎注目のプロジェクト、森トラストとIHGによる「ホテルインディゴ長崎グラバーストリート」2024年冬開業予定
不動産開発大手の森トラストがIHGホテルズ&リゾーツとパートナーシップ契約を締結し、長崎の南山手エリアに「ホテルインディゴ長崎グラバーストリート」を2024年冬頃に開業をすると発表した。5月24日には森トラスト代表取締役社長伊達美和子氏とIHGホテルズ&リゾーツ 日本&マイクロネシア マネージングディレクター兼IHG・ANA・ホテルズグループジャパン合同会社CEO アビジャイ・サンディリア氏が概要説明に立った。
伊達氏は「古くから貿易を通じ海外との窓口としての歴史を持つ長崎が、今、出島メッセ、西九州新幹線の開通、そして来年には長崎スタジアムシティが完成するなど未来に向けても注目されている。予定地は、長崎港を臨む高台にあって、外国人居留地として栄えた長崎の南山手地区に位置し、世界文化遺産を構成する重要文化財の旧グラバー邸や国宝の大浦天主堂も徒歩圏内。本プロジェクトは、長崎市の伝統的建造物である旧マリア園を再生するもので、赤煉瓦造りの外観、アーチ形の窓や白い鎧戸、ゴシック様式のリブ・ヴォールト天井などを保存・復元しつつ、新たにホテルとして再生し、未来に繋げていく」と語った。また、ここ20〜30年新規開業の少なかった長崎でZ世代を取り込んでいくことの重要性にも触れた。
客室は約70室、地上3階・地下1階、の規模を予定。コンセプトは「時空を旅する 和・華・蘭ラビリンス」で、日本(和)、中国(漢)、オランダ(蘭)の個性が溶け合った異国情緒ある要素をとり入れる。IHGホテルズ&リゾーツのブランドの中で、「ホテルインディゴ」は、ライフスタイルブティックホテルで、その土地の個性や地域の魅力を映し出すことをコンセプトにしており、「この地の歴史や文化を未来に繋げていくという」森トラストの方向性にも合っている。
IHGホテルズ&リゾーツのアビジェイ氏は、ホテルインディゴについて「弊社は全部で18ブランドを運営している。日本ではうち7つのブランドを展開しており、ここ3年間で11のホテルを開業。ホテルインディゴもすでに3ホテルを開業。都市型のインディゴとしては初になる『ホテルインディゴ渋谷』も今年の9月にオープン予定だ。ホテルインディゴは、”ネイバーフッドストーリー”と我々が呼んでいるご近所の物語を色濃く反映している。それぞれが独自のホテルであり、唯一無二の存在だと言える。世界でも急成長しているセグメントで、日本でもそのように考えている。長崎にはこのホテルインディゴが適しているとすぐブランドを決められた」とホテルインディゴのユニークさと成長株のブランドであること、長崎の本プロジェクトとネイバーフッドストーリーというコンセプトの親和性にも触れた。
両氏はホテルマーケットの見通しに関して、伊達氏は「インバウンドは、まだ中国本土客が本格的に戻っていないなかでもかなり好調に動いている。比較して、国内需要の戻りが鈍くはあるが、コロナの際も旅行需要は常にあったので、開業計画は変わらず進めていく」と述べ、アビジェイ氏も「世界100カ国以上でホテル運営をしているが、グローバルでみて多くの国で2023年第一四半期の収入が2019年を超えている。日本も東京、大阪もすでに2019年のレベルに達しており、政府が観光促進目標を掲げているなか、地方都市も含めて日本は魅力的な市場としてとらえている」とポジティブな見方を述べた。
冒頭に伊達氏が述べた再開発や西九州新幹線の開業などポテンシャルの高い長崎の南山手、歴史的価値も高い赤煉瓦の美しい建物が、ホテルになってどんなネイバーフッドストーリーを語ってくれるのか来冬が楽しみである。