若年層への海外旅行訴求GW明けに具体策発表へ 近ツーへは直接指導も、和田長官会見
観光庁の和田浩一長官は4月21日に会見を開いた。足元では、3月の訪日外国人旅行者数は181万7500人を記録し、2019年同月比で66%中国を除けば84%まで回復、と堅調な伸びを見せている。
3月31日に閣議決定され、「持続可能な観光」「消費額の拡大」「地方誘客促進」を目指す新たな観光立国推進基本計画について和田長官は「今年度はまず計画の理念を周知浸透させながら、人材不足対策のための賃上げ要求による従業員の待遇改善、観光再始動事業、外国人富裕層の誘致促進を目指すモデル観光地支援などの観光政策を官民一丸となり取り組んでいきたい。」と述べた。また、閣僚会議内で6月までに策定を求められた今回の計画に基づいたインバウンド拡大のためのアクションプランについては現在策定作業中としたものの、「今後インバウンド需要を持続的に根付かせるにはビジネスやMICEなど幅広い分野での取組が必要」との認識を示した。
対してアウトバウンド、3月の出国日本人数は69万4300人、2019年同月比で36%とインバウンドに比べると依然厳しい状況が続いている。先月発表した「アウトバウンドの本格的な回復に向けた政策パッケージ」の進捗については現在、関係各所と検討を進めているようで、課題とされる若年層への海外旅行訴求については観光庁、航空業界、旅行業界の若手15人からなる検討会を設け議論を進めており、GW明けには具体策の発表がされる予定だ。和田長官は「10月に開催されるツーリズムEXPOジャパンの活用策含め、若手の皆様の意見をしっかりと取り込みながら具体策を検討していきたい。」と述べた。
続く業界内での不正事案への受け止めは
近畿日本ツーリストが自治体から受託したワクチン接種業務の中で発覚した過大請求問題について和田長官は「誠に遺憾」と述べた上で、事実関係の調査やコンプライアンス遵守の改善方策について同社に直接指導を行ったと明かした。また、業界団体と連携を図り、業界全体としてのコンプライアンス遵守の徹底について検討を進めるとした。
またGoToトラベルでの不正受給の問題で全国旅行支援の参加停止となっていた旅工房については、不正受給に掛かる全額の返金が確認できた点や再発防止策などを考慮し、停止処分を解除したと明かした。旅工房は先日、全国旅行支援対象商品の販売開始を発表している。