【メキシコ現地レポート】3年ぶりの「VIVA!」独立記念日に沸くメキシコシティ

  • 2022年10月3日

メキシコの現状

 もともとメキシコはコロナ感染拡大時から入国制限をまったく行っていなかったこともあり、カンクンなどの観光地にはコロナ以前より多くの観光客が訪れています。一部のホテルでは、7月1週目には100%の稼働率が報告され、料金も上昇傾向にあります。

 早い段階からウィズコロナにシフトしたメキシコでは、マスク着用義務は撤回されています。しかし、それでも都心に住む人の6割ほどは、地下鉄やバスなど密になりやすい環境ではマスクを着用している印象です。レストランやホテル、小売店などでは入場前の手足の消毒や検温も任意となりましたが、実施を続ける店舗は多く、マスクをしているスタッフも多いです。完全にコロナ以前のような様子ではありませんが、人出は増え、イベントや集会なども普通に行われています。9月15日には、コロナ後3年ぶりにソカロ広場で独立の叫び「VIVA!」を聞くことができました。

9月独立記念シーズンのメキシコシティ・ソカロ広場

メキシコの独立記念日とは?

 1810年9月16日早朝、ミゲル・イダルゴ神父が200年続いているスペイン奴隷制度を無くすために独立の「鐘」を鳴らして「VIVA!」と叫び、独立運動が始まりました。メキシコの独立記念日はこの独立運動が始まった日なのです。

夜のソカロ広場。独立記念日前でもこの人出

独立記念日に向けて広場の建物もイルミネーションで彩られる

 メキシコ人にとってはとても大事な日で、大統領と国民が1つになる日でもあります。メキシコ市長クラウディア・シェインバウン氏の発表によると、9月15日夜、メキシコの中心でもあるソカロ広場に集まった観衆は14万人とのことでした。マヌエル・ロペス・オブラドール大統領が「VIVA!」と叫ぶと、14万人の人が一斉に「VIVA!」と叫ぶ様子は、メキシコのパワーを改めて感じる瞬間でもありました。

 そして、ミゲル・イダルゴ神父が鳴らした鐘を大統領が鳴らし、花火が打ち上げられます。観衆皆と大統領、そしてテレビの視聴者、全員で花火を見てこの日を終えるのですが、今回の花火は例年以上に多く、盛大に感じました。正確な視聴率は分かりませんが、主要なテレビ局は全て独立記念日の様子を放映するため、ソカロ広場に行けない人や行かない人も含め、国民の多くがこの様子を視聴していると思われます。

 メキシコの大統領になると、独立の宣言とされる「EL GRITO(エル・グリト/叫び)」と鐘を鳴らすことが重要な仕事となります。大統領の任期は6年で、現在のマヌエル・ロペス・オブラドール大統領の「叫び」は4回目。そのうち2020年と2021年はコロナの影響で観衆がいない中で叫んだという異例の独立記念日でした。

 翌9月16日が独立記念日で、祝祭日になります。メキシコシティのメインストリート「レフォルマ通り」や「ソカロ広場」は閉鎖され、軍事パレードが行われます。また、この日の午前中は空軍が飛行機を飛ばすため空港も閉鎖されます。戦闘機や大きな戦闘ヘリコプター、戦車などなど、普段見ることができないものが見学でき、興味深いです。間近で見学したい人はレフォルマ通りに椅子を持って、朝早くから場所取りする熱の入れよう。上空には戦闘機が編隊飛行を行っており、多くの人が屋上に上がり、見入っています。

編隊飛行の戦闘機

 メキシコでは9月を「祖国月間」とし、いたるところで独立記念日に関したものを見ることができます。町には独立記念日グッズが溢れ、様々なサイズのメキシコ国旗や服、ステッカー、笛、リボンなどが売られています。メキシコの学校は9月15日、16日が休校となり、前日の14日には「メキシコらしい格好で登校するよう」学校から連絡がきます。服も沢山販売されており、選ぶのが大変なほど。14日の朝、メキシコの国旗色である赤・白・緑のトリコロールの衣装をまとった子供たちが通学している様子を見ると、いよいよ気分も盛り上がってきます。

独立記念日グッズ

国旗色の衣装

 家族や仲間たちと共にVIVA!と叫び、独立を祝い、独立を達成した英雄たちを称える。9月はメキシコ人がアイデンティティ強く感じ、国が1つになる重要な月であり、この時期だけしか体験できないイベントが「独立記念日」なのです。

※本記事はVIAJES PASELA S.A.DE C.V. 宮良高雄氏よりご寄稿いただきました。