スペイン観光長官が来日、回復スローも「日本は重要市場」、23年はピカソやサッカーなどアピール
このほどスペイン観光庁長官のフェルナンド・バルデス氏とスペイン観光推進局総局長のミゲル・サンス氏が来日し、スペイン大使館観光参事官/スペイン政府観局局長のハイメ・アレハンドレ氏とともに記者会見をおこなった。コロナ禍中も観光業に投資を続け、同国が観光目的地として高品質・サービスを維持していることをアピールするとともに、スペイン観光産業にとって日本は依然重要市場であり、旅行会社からの送客を強く訴えた。
日本人客の質の高さに期待
バルデス氏は今回の来日の目的を「観光客往来の回復を目指し、その基礎を築くため」と挨拶。コロナ禍中でも観光産業に対して公費約520億ユーロを投資し、産業の品質と人材維持に努めた結果、パンデミック前と変わらない品質のサービスと安全性が提供できていると話す。そのうえで以前に日本政府と交わした、両国における観光分野における相互の協働および協力を目的とした覚書の更新をおこない、またツーリズムEXPO2022では90平米のブースに各州観光局、ホテル、ツアーオペレーターなど14団体が出展し日本市場の重要性を強調。
バルデス氏によると、2022年夏のスペインへの外国人観光客は、過去最高の2019年同時期比の約9割を記録し、2022年秋の予約状況も同時期比8割まで回復。2022年は2019年の8割前後で着地すると見込んでいる。海外市場の動きとしては、近隣のヨーロッパを中心に観光客が戻りはじめ、ドル高ユーロ安の為替の影響もあり北米市場が回復、さらに今年に入りメキシコやコロンビアなど、ラテンアメリカ市場も堅調な戻りをみせているという。
アジアは総じて回復が遅く、日本人も現在は2019年の2割程度の約13万8000人ほど。ただしアレハンドレ氏は「我々が日本市場に期待しているのは数ではなく、その旅行の質にある」と強調。パンデミック前に日本の旅行会社を対象にファムツアーをおこなったカナリア諸島を例に挙げ「参加者に非常に好評で、観光地としてのカナリア諸島が高レベルにあることが証明された。日本人客は観光の質のバロメーターでもある」と語った。
2023年はピカソ没後50年、サッカーや鉄道旅など新たな切り口も
今後のプロモーションとしては、2023年に没後50年を迎えるピカソをテーマに、出生地のマラガをはじめ、ビルバオ、バルセロナ、マドリード、ア・コルーニャといった縁の地をアピールしていく。さらに日本でピカソの作品を所有する美術館などとタイアップも計画しているという。また旅行会社に対してもピカソを取り上げたファムツアーを実施するほか、サッカー観戦、鉄道の旅、カナリア諸島でのリゾート、あるいはワーケーションといった切り口からもPR活動をおこなっていく考えだ。
バルデス氏は2023年にイベリア航空(IB)の直行便の再開が予定されていることにもふれ、「日本の旅行会社にはスペインの魅力をぜひ知っていただきたい。我々は日本のお客様が戻ってきてくれることを心からお待ちしている」と熱く語り、サンス氏は、スペインを訪れた日本人客の7割が「非常に満足」と答えており「規制緩和が進めばこうしたデータもプラスに働くだろう」と日本市場への期待を述べた。