「持続可能な観光」に向けた業界の施策、フィンランドがパネル開催
認証制度「サステナブル・トラベル・フィンランド」を始動
伝統料理など多様な視点で取り組みを
航空産業のCO2排出量は全産業の2%
パネルディスカッションで在日フィンランド商工会議所専務理事のクンナス氏は、フィンランドにおける取り組みの現状を報告。SDGsが定められるはるか以前から、フィンランド社会には持続可能社会の重要性が広く浸透しており、教育の場でも企業活動の場でも重視されていると説明。そうしたベースの上で、「誰でも自分が担える役割を見つけることができる。例えば公共交通機関をより有効に利用するためのアプリなども普及しており、誰でもできることでサステナブルに貢献できる」環境があることが強みだとした。
北欧ツアーコーディネーターの戸沼氏は、教育や環境関係のスタディーツアーを作るために大手旅行会社から独立した経験を持つが、「仕事を続けていくなかで結局、フィンランドが一番サステナブルであると確信した」と断言。フィンランドにはサステナブルなライフスタイルが根付いているといい、考え方も「オランダのそれと似ているが、より自然が豊かなのがフィンランドだ」と紹介した。
一方、AY日本支社長の永原氏は航空業界の現況を解説。年間で延べ44億人が航空旅行をし、世界3759空港の間を結ぶ4万5000路線で、1300社の航空会社が所有する3万2000機の航空機によって1日12万フライトが運航されているデータや、全産業の温室効果ガス排出量に占める航空産業の排出量は2%であるといったデータも示された。
そのうえで航空業界による取り組みとして「最新機材の導入」「機内食関連の軽量化よる離陸時重量の削減」「航空管制の無駄の排除(特に欧州において)」「将来に向けたバイオ燃料導入の努力」を紹介。
逆に旅客ができる取り組みとして「最新機材のフライト選択」「手荷物重量の軽減」「最短飛行ルート運航便の選択」、そしてさらに「航空以外の移動手段の選択」を挙げた。航空会社が航空機利用以外の移動手段を推奨することは、欧州の航空業界では他にも例があるが、AYも航空会社の立場を超えてサステナビリティを優先する立ち位置であるようだ。