4月に「三越伊勢丹ニッコウトラベル」誕生、合併後の戦略は

ニッコウのノウハウ活かし事業強化へ
富裕層市場でトップシェア獲得めざす

-合併後の社名は、やや長めの「三越伊勢丹ニッコウトラベル」となります。その理由についてお聞かせください

古川氏 古川 合併によって、それぞれが抱える顧客が離れていくことだけは防ぎたかったので、三越・伊勢丹・ニッコウトラベルの3社の名前はすべて残した。ニッコウトラベルのお客様からは「三越伊勢丹旅行と一緒になることで価格が高くなるのでは」と心配する声もあった。しかし実際には、すでにニッコウトラベルの海外旅行のお客様が、三越伊勢丹旅行の国内旅行のお客様になるケースも出てきている。

 また、三越伊勢丹の「のれん」を持っているからこそ実現可能な企画もあり、例えば寺社の特別拝観や貸し切り、豪華列車の手配など、希少価値や特別感のある旅行商品を造成することができる。こののれんは今後も大切にしていきたい。

-合併後の業務や体制についてお聞かせください

古川 新会社では、利益を生み続けているニッコウトラベルのノウハウを取り入れていく。例えば人事の面では、これまでのニッコウトラベルと同様に新卒を採用して育成する。入社後は添乗業務を2年ほど経験し、3年目以降に企画担当に配属する。自立して企画の仕事が務まるようになるには4、5年ほどはかかる。

 添乗業務については外部に委託せず、社員による添乗にこだわっている。旅行中のご案内は勿論だが、お客様の特徴を掴むことに注力し、現地のナマの情報や知識を蓄積して次の企画に活かすようにしている。お客様は旅のベテランばかりなので、まずはしっかりと人間力を養い、その上で添乗員へと育成していく。

 現在は2社の統合に向けて、重複する業務などを整理しているところだ。将来的には1足す1を2や3にまでしていきたいが、仕組みができ上がるまではやや時間をかけたいと思う。

 事業の再編について言えば、新会社発足に伴い札幌三越、伊勢丹浦和店、伊勢丹相模原店、伊勢丹府中店のカウンター店舗は終了する。また、名古屋三越栄店の店舗と京都営業所は、近隣のニッコウトラベルの支店と統合する。そのほか、自社商品を紹介する月刊誌「SkyNews」を制作しているニッコウ企画も、三越伊勢丹ニッコウトラベルの1部門となる。