18年は「変革の時代の幕開け」、各社が心機一転-年頭所感(1)
▽JTB代表取締役社長 高橋広行氏(※高ははしご高)
今年は2月に平昌で冬季五輪、6月にロシアでサッカーワールドカップ大会があり、これらの世界的なスポーツイベントは海外旅行の需要喚起だけでなく、2019年の日本でのラグビーワールドカップ大会、20年の東京五輪への機運の醸成にもつながる。
昨年に回復の兆しを見せた海外旅行は、今年はさらに回復するだろう。国内旅行も東京ディズニーリゾートの開業35周年、レゴランド・ジャパンでのホテル開業、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン近隣におけるホテル開業、明治維新150周年などで、昨年同様に堅調に推移する見通しだ。6月には住宅宿泊事業法も施行され、民泊が合法的に新規需要の創出や地域の活性化につながることが期待される。
訪日旅行は、地方分散と体験型のコト消費が加速する1年になり、外国人旅行者数は年間3000万人を超えると推測する。地域の魅力がさまざまな形で発掘・発信され、クローズアップされることは国内旅行の活性化にもつながる。
当社は、4月1日に、新たな価値提供に向けた経営改革を実施する。改革の先にめざす姿を「第3の創業」と位置付け、それに先んじて1月1日付で社名を「株式会社JTB」に変更した。改革では「個人」「法人」という事業単位の再編により、お客様のニーズに迅速に対応しうる組織を構築し、迅速な経営資源の最適配置と意思決定を可能にする体制を実現する。
事業ドメインも4月にこれまでの「交流文化事業」から「交流創造事業」に変更し、JTBならではの商品・サービス・情報・仕組みなどのソリューションを提供することにより、地球を舞台にあらゆる交流を創造して、お客様の感動・共感を呼び起こす。デジタルとヒューマンタッチを合わせたソリューションの提供により、お客様の期待を超える価値を生み出し、お客様にとっての成果を約束することをグループの経営ビジョンとして追求する。
将来の事業領域については「『国としての課題・社会としての課題』の解決」にまで視野を拡げ、「人の生活の質の向上」「持続的な地域社会の発展」「企業の社会的価値の向上」の3つのテーマで、新たなソリューションビジネスの創造に果敢に挑戦する。
▽楽天ライフ&レジャーカンパニートラベル事業事業長 高野芳行氏(※高ははしご高)
昨年はロゴを英語に変え、新しい顔で新しい時代に足を踏み出した。事業面では、楽天カードと連携してホノルルに「楽天カードラウンジ・楽天トラベルデスク」を開業したほか、国内の登録宿泊施設を対象に「楽天スーパービジネスローン」の提供を開始するなど、グループ内の他サービスとの協業に取り組んだ。また、他の旅行会社とともに「旅行業不正検知共通プラットフォーム(JIRSTA)」を設立した。楽天トラベルの不正取引防止の技術やノウハウを他社とシェアし、リーディングOTAとして、業界の安全・安心の向上に貢献したい。
今年は楽天トラベルにとって、旅行者や宿泊施設の役に立てるプラットフォームであり続けるために非常に重要な「変革の年」となるので、「メンバーシップ」「データ」「ブランド」の3つをキーワードに事業を展開する。楽天グループは単なる「マーケットプレイス」を脱却し、「メンバーシップ+データカンパニー」へと大きく舵を切ろうとしているところで、楽天トラベルでは会員基盤と蓄積された多種多様なデータをもとに、宿泊施設とその宿泊施設を好みそうな旅行者を高い精度でマッチングする。
サッカーのFCバルセロナなどとのパートナーシップにより、今後は楽天の認知度がグローバルレベルで向上すると確信している。世界中の人々が「Rakuten」のロゴが入ったユニフォームを着る選手たちを見て楽天という会社を知り、そのことが楽天トラベルへの集客や利用促進にもつながる。多くの世界中の旅行者と宿泊施設のベストマッチングを実現していきたい。