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トップインタビュー:名鉄観光サービス代表取締役社長の日紫喜俊久氏

現場力で中計達成へ、強みの団体営業強化
昇龍道で訪日客誘致に注力

-中期経営計画の達成状況と今後の展望は

日紫喜 我々は旅行部門と国際貨物部門の2本の柱を持っている。旅行部門の15年の取扱高は903億円で、今年は900億円強を予想する。全体の取扱高のうち7割が団体旅行、2割がFIT、1割がインターネット販売となる見込みで、17年度はこの比率を保ちながら、取扱高を1000億円まで引き上げたい。

 今年は、国内旅行が比較的堅調に推移している。九州地震は西日本の教育旅行を中心に大きな影響を及ぼしたが、東北や沖縄での宿泊を促進するキャンペーンなどにより、九州以外の地域で落ち込みをカバーしている。九州については「ふっこう割」を活用するほか、7月から12月まで「九州観光支援キャンペーン」を実施中だ。加えて9月には、全国の団体営業マンを対象に、熊本と大分で3日間の研修旅行を実施した。現地視察を通して、「団体に強い名鉄観光サービス」として九州への団体旅行を増やしたい。

 海外旅行は、テロ事件の影響などで欧州方面が大変厳しい状況にあるが、最近では業務渡航が回復しつつある。他の方面では、オーストラリアや台湾などが好調で、東南アジアも堅調に推移している。今後はビジネスクラスを利用したパッケージツアーと、クルーズ商品の取り扱いを伸ばしていきたい。クルーズについては、昨年に専門部署を東京に設置して注力しているところだ。

 訪日旅行は、15年は前年比で20%を超える伸びを示したが、円高などにより今年の6月と7月は10%増程度に留まっている。今後は10名の外国人スタッフを活かし、引き続き中国や韓国、台湾、ベトナム、マレーシアなどアジア圏の取り組みに注力していきたいと考えている。


-中計では教育やスポーツなどの団体を「重点市場」としていますね

日紫喜 中計では市場の大きさや我々の得意分野を踏まえて、スポーツ、教育、社会福祉、官公庁、MICE、宗教の各団体を重点市場としている。特に我々はスポーツ、教育、社会福祉の団体に強いネットワークを持っているので、さらに伸ばしていきたい。教育旅行で海外に行く場合を除けば、基本的には国内旅行が中心だ。

 このうちスポーツは、20年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、裾野がますます広がるだろう。各種競技の国内外での大会や合宿などが増え、我々が役立てる部分はたくさん出てくる。五輪に向けて営業力を強めるとともに、最終的にはスポーツ団体の誘致を通して地域振興に貢献していきたい。

 教育旅行については、今年3月にアジア2拠点目として開業した台湾事務所で、日本発・台湾発ともに取引を増やしていきたい。すでに台湾の教育旅行に強みを持つ旅行会社と協業して、取り組みを進めている。