南極・北極セミナー開催、「説得」で高額商品のリピート促進

  • 2016年4月4日

▽極地でもリピーター化は可能「南を訪れた人は北もめざす」

ゾディアックによるホエールウォッチング。クジラにゾディアックをひっくり返されることはないという  国際南極ツアーオペレーター協会(IAATO)によれば、14年10月から15年3月にかけての旅行シーズンに南極を訪れた旅行者は全世界で約3万6686人で、そのうち最も多いのは米国の1万2308人。以下は豪州が4087人、英国が3428人、近年急増している中国が3042人と続く。日本人は9位で約2%の831人。そのうちクォーク社のクルーズを利用した人は274人で、9割超をクルーズライフが取り扱っている。伊藤氏によれば、日本市場における主なターゲットはシニアの富裕層だが、「長期間にわたり準備をして訪れる普通のサラリーマンやハネムーナーもいる。年配だけの世界にはしたくない」という。

 伊藤氏によれば、クォーク社のクルーズを利用して初めて極地旅行を体験する日本人は、8割が南極を、2割が北極をめざす。同じ極地ではあっても南極には大陸があり、ペンギンの群れを見ることなどができることが大きいという。同氏はあわせて「2つの魅力は似て非なるもの」と述べ、「南極を訪れた人は必ず北極をめざし、北極を訪れた人は必ず南極をめざす」と説明。そのほか、南極には大陸以外にも多くの島々が点在し、北極圏にもグリーンランドやスバールバル諸島など多くのデスティネーションが存在することから「高額な極地旅行でもリピーター化は可能」と強調した。

 伊藤氏は、同社には極地旅行を経験したスタッフが複数名おり、各旅行会社における説明会などをサポートできることをアピール。また、日本語による資料も豊富に備えていることを説明した上で、「極地旅行は究極の商品。総合パンフレットに、その他の商品と一緒に入れていてはうまくいかない。まずは極地旅行専門のパンフレットを制作することから始めるべき」と提案した。

「オーシャン・ダイヤモンド」のレストランの様子  販売にあたっては、参加者が費用などの準備に期間を要する場合も多いことから長期的な計画が必要になる旨を説明し、最短でも催行の1年以上前から販売計画を立てるべきと提案。極地旅行商品の販売開始にあたっては「最初の1年から2年は苦労する」ものの、ダイレクトメールの送付などを重ねて販売に向けた努力を継続することで、徐々に旅行者の関心を集めることはできるとした。

 そのほか参加者に向けては「今のところは日本で極地旅行を販売する旅行会社は非常に少ないので、過当競争もない」と語り、各社には販売に向け奮起を促した。クォーク社のクルーズについては「買取制ではなく、デポジットも不要なので、旅行会社にとってリスクらしいリスクはない」と説明。取消料についてはクルーズ約款を活用して独自のキャンセル料を設定することで、旅行会社は大きなリスクを抱えずに販売できることを強調した。

クルーズライフの伊藤栄治郎氏 また、販売にあたっては「自分たちの給与水準を考えながら販売する必要はない」と指摘。「極地旅行は『説得商品』。お客様は参加したくてもなかなか一歩を踏み出せないものだが、旅行会社が充分に納得のいく説明をして説得すれば、背中を押すことができる」と参加者を説得し、「人生は1度しかないのだから、旅行会社はお客様に良い旅を案内してほしい」と訴えた。


※訂正案内(編集部 2016年4月5日 12時30分)
・第1段落1文目
誤:伊藤栄次郎氏

正:伊藤栄治郎氏
お詫びするとともに訂正致します。