着地型観光、テーマで「編集」を-地域全体での連携重視

  • 2014年11月11日

地域資源をテーマで活性化、地域全体の連携ポイント
地方創生で観光庁が積極支援、人材確保が課題に

着地型観光の推進体制確立が課題
方向性をあわせた産業連携へ

モデレーターを務めたJATA国内旅行推進委員会着地型WGの加藤氏  シンポジウムの後半はパネルディスカッションを実施。各立場から着地型旅行に関する現状と課題を語った。モデレーターの加藤誠氏は、観光産業は宿泊、土産物、観光施設、交通に加え、雇用需要の創出、地域収入の増加など幅広い波及効果がある「地域活性化に資する産業」であることを改めて強調。「活性化の効果を具現化するためには、地域の多様な主体が参画する着地型観光のための体制づくりが必要」とした。

 しかし、同氏は着地型観光の推進体制について、全国の市町村でしっかりとした体制が確立されていないと問題を提起。地域一丸で明確な目的のもと「観光産業関連だけでなく、さまざまな主体が集まった組織体」を作って取り組むことが理想的であり「非常に大きな価値を生む」と述べた。

海島遊民くらぶ代表取締役の江崎氏  また、海島遊民くらぶ代表取締役の江崎喜久氏は、鳥羽での観光の取り組みを事例に、地域一丸での着地型観光の取り組みを紹介した。鳥羽では漁業と観光が連携する「漁観連携」を進めているところ。江崎氏は、鳥羽地域を支えてきた産業は漁業だとし、地域産業があってこそ観光がある点を強く訴えた。

 その上で「資源管理という視点から見ると、水産業や漁業は危機的な状況」にあるといい、「漁業を観光に都合よく利用するのではなく、漁業基盤そのものを支えられるような取り組みをしていきたい」と語った。

 連携においては「漁業者と観光業者、加工業者、お客様、町の人などインナーのマーケティング、調査が必要なのでは」との考え。調査により地域のベクトルを合わせ産業連携をおこなうことができるとした。

 さらに、江藤氏は漁業者の品質管理は価値になるが、資源を管理するための努力は価値にならないとし、「努力を見せられる、時間をかけるプロセスを見せられるのは観光しかない。地域の人々の努力を観光の魅力にしていくことを次のステップにできたら」と今後の活動に関する考えを述べた。