【コラム】ワールド航空の雇調金問題、特別調査委員会の最終報告まとまる

  • 2021年12月3日

疑問と不快感だらけ、該社には真実と今後の方針の開示を求める

 報道をご覧になった方も多いと思いますが、特別調査委員会の最終報告が出ました。同調査委員会の中間報告書はワールド航空のコーポレートサイトに公開されていますが、11月30日付けの最終報告は公開されていなかったため、電話にて広報へ依頼し、全文を入手しました。

 中間報告以上に判明した重要な事実の報告はほぼ有りません。他のメディアも報道しているように、事実に反する申請による受給を受けたことは間違い無いが、内部管理体制がずさんで正確な申請をしうる体制が無かった事が主因、会長・社長の関与や「不正=故意」であったかは明らかではない云々。

 そして、調査委員会として今後期待する対応として、受給した4億6千万円あまりの雇調金の全額又は一部の自主返納、経営陣の刷新が望ましいとしています。

 最終報告書をここで公開出来ないのが歯痒いのですが、通読した筆者としては、この調査結果に納得する人がいるとは到底思えませんし、仮に今後、全額返納や経営陣刷新が行われたとしても、損なわれた観光産業全体のイメージが回復するとは考えられません。

 はっきり言って、この報告書のいたるところに疑問やなんとも言えない不快感を禁じえません。また、ワールド航空から、この最終報告書の公開、全文及び一部の転載・引用も認めないと言われており、何のための特別調査委員会なのか、なぜ公開をしないのか、それも理解出来ません。

 JATAの会長でもある菊間会長は、自社のこの不祥事により、コロナ禍に苦しむ旅行業界・観光産業への悪影響をできる限り少なくすることを最優先する意識はお持ちなのでしょうか?業界団体を牽引されてきたお立場に相応しい、事実開示の姿勢、ご自身の進退に関するお考えを早急に示して頂くことを願います。

※会社の看板が壊された、誹謗中傷の電話があるとも聞いています。しかし、大半の社員の方には何の非も有りません。

 今回、この最終報告を送っていただくためにお電話した際、その後の公開や引用可否に関してやり取りをさせて頂いたワールド航空の社員の方は、決して愉快な問合せ・やり取りでは無いにも関わらず、丁寧且つ真摯に対応して下さりました。最終報告書の公開や引用は許諾出来ないという下りでは、苦しい胸の内も垣間見えたと聞いています。

 おかしいと思うことは声に出すことも非難することも、必要だと思っています。ただし、相手を間違えてはなりません。社員の方はできる限り守られるべきだという調査委員会の主張だけは完全に同意します。

岡田直樹
㈱エフネス代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人。27歳でエフネスの前身㈱ルゥエストを創業し、31周年にあたる今年に至る。旅行素材のホールセール、観光関連企業への決済サービス提供、緊急対応代行、業界誌トラベルビジョン運営等々、主に観光産業内のB2B事業に携わる。
㈱ティ・エス・ディ代表取締役、一般社団法人インバウンドデジタルマーケティング協議会理事、㈱ミックナイン社外取締役​