【コラム】光明が見えてきたからこその課題

 先週は複数の観光産業の方と意見交換をさせて頂きました。

 「行動制限が緩和される可能性が報道され、少しだけ先に希望が見えてきた」「お問い合わせの質量にも変化が見られ、消費者のマインドにも変化の兆しが見える」等々、僅かながら先に光明が見え始めたことに、皆さん一様にほんの少しですが安堵されているように見受けられました。

 一方、需要の回復は逆L字のような急回復となるのか、緩やかな回復基調を辿るのか、はたまた未だしばらくは「ハンマー&ダンス」を繰り返すことになるのか、予想が難しく、需要回復に向けいつから、どのように準備をすれば良いか皆さん悩まれています。

 また、需要回復を見据えるが故の悩みに関しては、業種や規模により様々でした。ホテルや中堅・大手の旅行会社さんは急回復シナリオとなった場合、人手を確保出来るのか?需給の波が激しい中労務的にもどのような対応が最適なのか、どなたも答えを出せない様子です。規模の小さな旅行会社さん、それも業務渡航中心の会社さんの最大の悩みは、資金繰り。急激な受注増による立替に対応するための銀行借入が出来るのか、切実な不安を抱えて居られました。

 その他、仕入先の廃業等による新たな取引先の開拓、テレワークを継続出来るのか・すべきなのか、手数料等の価格設定等々、過去に類を見ない長期需要減退からの回復に際して、どのように対応すべきか悩みは尽きないと言う状況です。

 何れの悩みも、政府や業界団体頼みだけで解消出来るものでは無く、事業者が自助努力により解決していくしか無いのだと思います。しかし、単社では解決出来ない課題も有り、やはり今こそ産業内での協調が不可欠だと思われます。

 もっぱら国内を扱う事業者と海外専門事業者では需要回復のタイミングはずれるのでしょうから、労働力をそれぞれの事情に合わせ融通し合う。運転資金が不足するのであれば、中堅・大手の代理店になることにより、資金繰りの問題を解決する。

 ホテルにおいては、低需要期の朝食提供は近隣のホテルと持ち回りにする。 アウトソースの活用や他社との提携・合併も選択肢に入れる。等々、実際に実行するのは簡単では無いでしょうし、精神的な抵抗も有ると思います。

 しかし、これまでは考えてもいなかったような事をもって対処しない限り、想定される様々な需要回復のシナリオに対応し、恩恵に預かることは難しいと思われます。

 先週のコラムでも書きましたが、コロナ前の業績への回復にとどまらず、さらなる発展のために協調・共創の仲立ちに微力ながらも貢献したいと考えていますので、御社が必要とするリソース、提供出来るリソース、求めるパートナー等を是非、編集部にご連絡下さい。

 先週のコラムをお読み頂いた読者からは、
●富裕層向けの旅行商品の販路をお持ちの会社
●1種・IATA認可保有企業との資本提携や買収
●入札案件や補助金事業に詳しい個人や会社との業務提携

等のお問い合わせを頂いており、ご対応が可能な方はご連絡下さい。

岡田直樹
㈱エフネス代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人。27歳でエフネスの前身㈱ルゥエストを創業し、31周年にあたる今年に至る。旅行素材のホールセール、観光関連企業への決済サービス提供、緊急対応代行、業界誌トラベルビジョン運営等々、主に観光産業内のB2B事業に携わる。
㈱ティ・エス・ディ代表取締役、一般社団法人インバウンドデジタルマーケティング協議会理事、㈱ミックナイン社外取締役​