【コロナに負けず】宿泊客を呼び込むマーケティングとは-micado代表取締役副社長の渡邉氏

ブランディングを軸に直販強化
GoToトラベルはリピーター化のチャンス

-デジタルマーケティングの専門家として宿泊業界を見たとき、一番の課題は何だと思いますか


micadoのウェブサイトでは「ナレッジの溜まり場」としてホテルやデジタルマーケティングの情報を提供している(クリックで拡大)
渡邉 もともとホテルや旅館の集客はOTAに依存してきており、デジタルマーケティングを売上や集客増、顧客満足度の向上に活用できているところが少ないことが課題だと思う。これまではOTAのウェブサイトに宿泊プランを掲載し、予約が入るのを待つ集客スタイルが中心だったが、Googleの検索アルゴリズムが万能化し、地図からの検索や音声検索も可能になるなか、消費者の動きが変わってきた。「OTAよりも宿泊施設の公式サイトをクリックする方が早い」という消費者はどんどん増えている。

 宿泊施設側も徐々にお客様を自社サイトへと呼び込む集客スタイルに移行してきている。この流れに乗るためには、自社サイトで積極的に情報を発信し、集客を強化する必要がある。

-コロナ禍で宿泊施設における接客にも変化が起こっていますが、今後施設が取り組むべきデジタルトランスフォーメーション(DX)についてどうお考えですか

渡邉 全てをデジタル化するのではなく、施設ごとのターゲットに合わせてDXに取り組み、生産性を高めていく必要がある。例えば旅館の場合、手厚いおもてなしを好むお客様もいれば、「仲居さんに自分がいないときに客室に入られるのが嫌」と考えるお客様もいる。両方におもねるのではなく、ブランディングに合わせてどちらに合わせるかを選び、宿泊施設のブランドを崩すことなくお客様の声を取り入れるべきだ。

 多くの宿泊施設はターゲットを決めたがらず、成果を予約数と稼働率でしか見ていないが、もったいないと思う。ターゲットを決め、予約獲得単価が安いとされるリピーターの獲得に取り組んでほしい。GoToトラベルキャンペーンが拡大されているが、キャンペーンでは普段は宿泊しないような旅館やホテルに泊まるお客様が多い。キャンペーンを集客ツールではなくリピーター化のための宣伝の一部としてとらえればよいと思う。

 リピーター化を促すためには顧客管理システム(CRM)を導入したほうが良い。おすすめは使いやすいハブスポット。我々はセールスフォースも使っているが、機能が多すぎて宿泊施設の方々には使いきれない可能性がある。小さい宿泊施設はエクセルなどで自社管理するのも手だ。