出国2000万人時代のパッケージ商品とは-JATA経営フォーラム

  • 2020年4月1日

ベルトラ、「人とのエモーショナルな体験」を商品化

ベルトラの萬年氏  ベルトラの萬年氏は、20年のタビナカ市場規模が約20兆円に上るとの見方を示し、「十分に開発の余地がある」と発言。その上で、海外旅行への関心が特に高いとされるミレニアル世代とジェネレーションZについて、「本格的な文化体験やサステナブルな旅、現地コミュニティーへの還元」を望む旅行者が多いことを特徴として挙げた。

 萬年氏はベルトラがめざす方針を「現地ツアーの枠にとらわれない、人とのエモーショナルな体験。商品を安くすることには何の意味もない。独自のコンテンツをアセットとして、見合った価格にしていく」と説明した上で、「ツアーガイドとの出会い自体が商品」と強調。同社の調査では、ベルトラを勧めたい理由の37%が「現地ガイドとの交流」だったことも伝えた。

 そのほか、同社がSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みや、他社との連携モデルにも注力していることをアピール。SDGsに関しては、海洋保全のために「ダイビングプロジェクト」を発足し、20ヶ国で275商品を展開していること、他社との連携モデルに関しては、昨年の全日空(NH)の成田/パース線就航にあわせて、西オーストラリア州観光局と共同でフラワーガイドと巡る「ワイルドフラワーの旅」を造成したことを紹介した。

ANAセ、DPが個人型旅行の発展のカギに

ANAセールスの浅田氏  ANAセールスの浅田氏は、「個人型旅行は異業種参入でレッドオーシャン化している」と指摘。個人向けパッケージツアーの利用者がFIT化し、個人型の手配旅行の分野に業界の「空白地帯」が生まれ、そこにOTAが参入してきたという。また、その流れのなかで「自分好みの旅を選ぶスタイルが、自己責任で旅をする文化の拡大にあわせて広がっている」とも分析した。

 しかし一方では「20代などにおいて、SNSでまず確認してから旅先を選ぶ、いわゆる『失敗したくない症候群』が出てきた。そのため、店頭で旅のプロから提案してもらい、旅先を選ぶケースも増えている。これが今後のヒントになるでは」と述べ、ダイナミックパッケージ(DP)が双方のニーズを掴むと主張。「(DPも該当する)募集型企画旅行には、OTAにはない旅程保証の安心感もある」と語ったほか、今後はダイナミックプライシングで最新の価格が適用されることについて言及した上で「個人型の発展の鍵になるのではないか」と主張した。

 また、旅行商品に対するニーズが好みの旅を組み立てるセット型に移行しているなか、「少品種大量生産型」のパンフレット商品から、「多品種少量生産型」のビジネスモデルへの変換が必要と主張。DPや周遊型の個人旅行、イージーオーダーメイド型の手配旅行に旅行会社が成長するチャンスがある」と語った。さらに、旅行会社が顧客のライフタイムバリュー(取引期間を通じて企業にもたらす価値)を高めるためには、「お客様1人ひとりの人生に寄り添い、どれだけ『かけがえのない存在』 となりえるか」が重要と説明。「100人に対して100個の商品は不要だが、100通りのコミュニケーションは必要」と述べ、旅行会社としてコミュニケーション力を磨く重要性を強調した。