JATA、「韓国復活」と「交流1000万人」に向けファムツアー

今年は「全土を売る」スタートの年に
地方の魅力を深掘りし、商品造成へ

慶州や蔚山の観光資源を見学、釜山の「アート村」も

正氏とJATA幹部による懇談の様子  14日から開始した視察は、北部を周る「平昌冬季オリンピックコース」と、南部を周る「釜山、蔚山、慶州コース」「百済歴史コース」の3コースに分かれて、それぞれ50名が参加。JATAによれば南部の2コースは、昨年9月に発生した地震による風評被害を受けた慶州を支援するために設定したという。このうち記者が参加した「釜山、蔚山、慶州コース」には、JATAから田川氏や菊間氏に加えて、理事長の志村格氏、事務局の越智良典氏、ジャルパック代表取締役社長でJATA海外旅行推進委員会副委員長の藤田克己氏なども参加した。

彦陽風のプルコギ。松茸のスライスとともに焼かれている  一行は1995年にユネスコの世界遺産に登録された石窟庵(ソックラム)と仏国寺(プルグルサ)を訪問。このうち仏国寺ではJATAの役員が教務局長の正修(ジュン・スー)氏と懇談し、慶州観光の現状について情報交換をおこなった。同氏は昨年の地震の被害については軽微であったことを伝えるとともに、仏国寺では体験プログラムとして「テンプルステイ」を提供していることなどを説明。観光地としてのさらなる魅力を紹介した。その後、慶州から蔚山(ウルサン)への移動の途中に立ち寄った彦陽(オニャン)では、昼食としてハンバーグ状に固めて焼いた珍しいスタイルのプルコギを食した。

機張の市場。カニ料理専門店も多い  午後には現代(ヒュンダイ)グループ企業が集まる工場都市として知られる蔚山を訪問。太和江(テファガン)沿いに4キロメートル以上続く竹林を散策した後、映画「友へ チング2」のロケ地にもなった海岸部の「大王岩公園(テワンアムコンウォン)」を訪れた。夕食時には釜山に向かう道中で、近郊の機張(キジャン)を訪問。釜山観光公社主催の晩餐会で名物のカニを楽しみ、釜山ではビーチに高級ホテルなどが立ち並ぶ海雲台(ヘウンデ)の「釜山海雲台グランドホテル」に宿泊した。

山肌に広がる「甘川洞文化村」  15日には、2005年のアジア太平洋経済協力(APEC)の会合で使用された会議場「ヌリマルAPECハウス」などの視察を急遽キャンセルし、菊間氏が推薦する「甘川洞文化村(カムチョンドンムナマウル)」を訪問。山肌に広がる迷路のように路地が入り組んだ集落が、アートによる町おこしで新たな名所に変貌した、異色の観光地を散策した。その後は釜山最大の市場である「国際市場(クッチェシジャン)」や海産物専門の「チャガルチ市場(シジャン)」、映画館などが集まる「BIFF(Busan International Film Festival)広場」などが集まる南浦洞(ナンポドン)を散策した。

 そのほか、「平昌冬季オリンピックコース」では「オリンピック広報館」や競技施設などを見学。「百済歴史コース」は「釜山、蔚山、慶州コース」と同様に石窟庵と仏国寺を訪れたのち、忠清南道(チュンチョンナムド)の武寧王陵(ムリョンワンヌン)や歴史テーマパーク「百済文化団地(ペクチェムンファダンジ)」を見学した。JATAは今回のファムツアーを踏まえて、2月か3月には「韓国復活フォーラム」を開催する予定。越智氏によれば、昨年3月に開催した「中国復活緊急フォーラム」と同様に、「地方の商品化」に焦点を当てるという。


取材協力:日本旅行業協会
取材:本誌 行松孝純