観光庁、17年度予算は4%増の256億円、ビジョン推進へ

  • 2016年12月22日

▽テーマ別観光は117%増、地方送客効果に期待

 85億5000万円の「ストレスフリーで快適な旅行環境の実現」については、「訪日外国人旅行者のストレスフリーな移動・滞在の実現」に向け、観光案内所などの機能向上を支援するほか、宿泊施設や交通機関などにおける無料公衆無線LAN環境の整備、手ぶら観光の推進などを継続。また、17年度からは新たに公衆トイレの洋式化にも取り組む。そのほか、バリアフリー評価制度の検討など、ユニバーサルツーリズムの促進にも注力する。

 27億6100万円を充てる「地方創生の礎となる観光資源の魅力向上」については、「広域観光周遊ルート形成促進事業」に2%減の16億1200万円を割き、これまでに認定した全国11ルートの観光資源の磨き上げや、海外へのプロモーションを進める。「観光地域ブランド確立支援事業」は18%減の2億500万円で、全国13の認定観光圏のブランド戦略構築などを支援する。

 「地域資源を活用した観光地魅力創造事業」は9%減の2億7000万円。地域の観光協議会などに対し、着地型旅行商品の造成や名産品の開発などを支援する。「観光統計の整備」は5%増の5億2200万円。全国レベルの消費動向に加えて、都道府県レベルの入込客数や消費額を明らかにする。

 このほか、概ね16年度と同水準となった「地方創生の礎となる観光資源の魅力向上」の各項目のなかで、「テーマ別観光による地方誘客事業」だけは117%増の15億1000万円で大幅増となった。今年度に実施した選定テーマの公募の反響が大きかったことや、訪日外国人を含む旅行者の地方送客において効果が大きいことなどを勘案したという。

 東北地方の復興に向けた「復興枠」の総額は1%増の45億6500万円。「東北地方へのインバウンド推進による観光復興事業」に前年並みの32億6500万円、「JNTO(日本政府観光局)による訪日プロモーション」に同じく前年並みの10億円、「福島県における観光関連復興支援事業」に13%増の3億円を充てる。

 そのほか、17年度は観光産業課内に「宿泊業活性化調整室」を、観光地域振興課内に「観光地経営推進官」をそれぞれ新設。地方運輸局については北海道運輸局と近畿運輸局の観光部にそれぞれ「戦略推進官」のポストを設けるとともに、四国運輸局にはその他の運輸局に続くかたちで「観光地域推進課」を設置する。増員数の合計は19名。また、税制改正では訪日外国人旅行者に対して、酒蔵で販売した酒類の酒税を免除する制度を創設する。